2021年は丑年!

新年おめでとうございます。

今年の第1金曜日は1月1日。不安が消えないなかでの年明けとなりましたが、昨年の分も素晴らしい年になるよう願いつつ、新年のご挨拶を申し上げるとともに2021年最初のムーミン春夏秋冬をお届けいたします。

2021年は丑年! ということで、年賀状ムーミン公式ファンクラブの壁紙などにもムーミンに登場するの絵が使われています。

さて、この牛、いったいどんなお話に登場するどんなキャラクターなのでしょうか。

牛の出てくるエピソードのひとつがムーミン・コミックス第7巻『まいごの火星人』(筑摩書房刊/冨原眞弓訳)。このお話の冒頭、どこか見覚えがあるような?

そう、1月11日(月・祝)まで佐川美術館(滋賀県守山市)で開催中のムーミンコミックス展のキービジュアルに使われているんです! この展示は来年6月までかけて全国を巡回していく予定です。

スニフがくれた壊れかけのラジオを聞いていると、空とぶUFOに乗った火星人が地球着陸を企てているというニュースが! 翌朝、畑に向かったムーミンママは、壊れた円盤型の物体が畑に突き刺さっているのを発見。それがUFOだと気づかず、部品を家に持って帰ってしまいます。ムーミンパパがその部品でラジオを修理しようとすると、次から次へと不思議な現象が起こって、ムーミン谷は大騒ぎ。さらに、薪の中から、迷子になった火星人の子どもが現れます。しょんぼりした様子の火星人の子どもを励まそうと思ったムーミンたちは、火星について書いてある本を読んで“火星には知的な青色の牛のような生物がいる”と知り、フィリフヨンカの牛を無断で借用。色を塗って、火星の生物に変身させます。

このフィリフヨンカの牝牛は、コミックスにしばしば登場。体はブチ模様で、ツノの間にいつも花を飾っています。言葉は話しませんが表情豊かで、ムーミンやスティンキーの企みを見破っているようなそぶりも。

「ムーミンママの小さなひみつ」(第2巻『あこがれの遠い土地』収録)では、スティンキーがムーミンママをドロボー協会に勧誘。フィリフヨンカの牝牛やお宝を盗み出し、ムーミンやしきの地下室に隠そうとします。気が咎めたムーミンママは牛に盗品を持たせ、こっそり返そうとしますが……。

ラルス単独作の第26話「Moomin the colonist」(未訳)では、ルーサ(ROSE)という名前で呼ばれているようです。

第28話「Moomin and the farm」には、たくさんの牛が登場。このエピソードは「ムーミンパパ、農場主になる」というタイトルで『英語対訳 ムーミン・コミックス』に収録されていますよ。
また、ムーミンコミックス展で貴重な原画が本邦初公開されている、コミックス最終作の第73話「10個のブタの貯金箱」には、ムーミンパパがブタの貯金箱と引き換えに牛の絵をフィリフヨンカに差し出す場面があります。ぜひ展示や図録で探してみてください。

コミックスを読んでいると、牛はムーミン谷では珍しくない存在なんだなということがわかります。では、小説にも牛は登場するのでしょうか? 少なくとも挿絵では、見かけた記憶がありません。強いて言うなら、『ムーミンパパの思い出』の王さまの園遊会の場面。いちばん手前にいる黒い姿は牛でしょうか、それとも王さまが仕掛けた作り物!?フィンランド最新版と共通のデザインになった新版『ムーミンパパの思い出』の表紙には、同じ場面をカラーで描いた絵が使われています。

そういえば、絵本『それからどうなるの?』はムーミントロールがママの言いつけで、大きな缶を手にミルクを取りに行くお話。牛の姿は描かれませんが、やっぱりムーミン谷の近くには牛がいて、ムーミンたちは牛乳を飲んでいるんですね。

絵本『さびしがりやのクニット』の表紙でフィリフヨンカたちとおしゃべりしている黒い顔のキャラクターも、もしかしたら牛?ところで、ムーミンバレーパークでしか買えないオリジナルグッズのなかに、フィリフヨンカの牛をモデルにしたと思われるぬいぐるみがあるってご存知でしたか? 最初に見たときは、売れるんだろうか!?と心配になってしまいましたが、今年ばかりは大人気かもしれませんね(笑)。パークでは3月7日(日)まで、イベント「ウインターワンダーランド」を開催中。冬の夜しか味わえないアトラクション「アドベンチャーウォーク」は小栗了氏の脚本・演出で、エンマの劇場でも人気のボイスキャストの声に導かれながら、湖のまわりを自分の足で歩いて『ムーミン谷の冬』の世界を体感するというスペシャルなもの。野外ですから、密を気にせずに楽しむことができますよ。

今年の秋には、フィンランドで大きな話題となっている映画『TOVE(原題)』がいよいよ日本でも公開! 1月29日(金)には 新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン2のBlu-ray/DVDが発売になります。

ムーミン公式サイトでは、随時、最新のMoomin Newsをお知らせしているほか、毎週金曜日にBlogを公開、LINE公式Twitter 公式Facebookアカウントでも情報を発信しています。ムーミン76周年の2021年も、ムーミンでいっぱいの楽しい年にいたしましょう! 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

萩原まみ