ムーミン谷の冬の住人、この子たちの名前は?

2021年も残り1カ月。コロナ禍の憂いは消えないながらも、映画『TOVE/トーベ』が公開されたり、新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』の地上波放送が始まったり、現在は神奈川県そごう美術館で開催中のムーミンコミックス展ムーミンマーケット2021、評伝『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』の新訳や『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』の日本語版出版など、楽しい話題も盛りだくさんな1年でした。

そうそう、準備のために現在休園中のムーミンバレーパークは、来週12月10日にリニューアルオープン! どんなふうに変わるのか、詳細はこちらをどうぞ。
遠くてなかなか行けない~という方は、プレオープンしたばかりの「MOOMIN OFFICIAL SHOP」でパーク限定グッズをチェックしてみてくださいね。

2021年を振り返ると、SDGs(持続可能な開発目標)、多様性といったキーワードが思い浮かびます。今年のムーミンの日のテーマもtolerance(寛容)でした。

そんな2021年に登場したムーミンの新しいプロダクトレーベルがThe little ones。今回はそのなかから、冬に関わりの深い3名をピックアップ! クイズ形式で詳しくご紹介したいと思います。

まずは、初級編。赤い帽子をかぶった小さな犬の名前は?答えはめそめそ。小説『ムーミン谷の冬』で、厳しい寒さで食べ物がなくなって、ムーミン谷にやってきます。

めそめそってちょっと変わった名前だと思いませんか?
原語名Ynkの語源とされるスウェーデン語のYnkligには「哀れな、微々たる」といった意味があり、フィンランド語のSurkuと英語のSorry-ooはどちらも「すみません、申し訳ありません」を表す言葉だそうです。日本語名のめそめそは英語版から、ロンリーマウンテンをおさびし山と訳したことでも知られる山室静氏が命名しました。彼は泣き虫なわけではありませんが、気が弱くて、内気な性格。それなのに(いえ、だからこそ、でしょうか)強いオオカミに憧れて、仲間に入れてもらおうとします。ところが、オオカミたちは目をギラギラさせながらめそめそを取り囲んで……。スリリングで意外な結末は、ぜひ『ムーミン谷の冬』をお読みください。

絵本『ムーミン谷へのふしぎな旅』には、後日談とも取れるような形で、メソメソ(絵本ではカタカナ表記)が出てきますよ。

ちなみに、コミックス第12巻『 ふしぎなごっこ遊び』に出てくるムーミンママのお手伝いさんのミーサが連れているペットの犬の名前も、めそめそのスウェーデン語名と同じYnk(インク)です。
このお話は新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』第10話「ママ、メイドをやとう」で映像化されています。残念ながらインクは登場しませんが、ミーサのドジっぷりとけなげさ、ムーミン一家の優しさが伝わるとても楽しい回なので、放送をお楽しみに!

また、『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』では、猫しか好きになれないインクのエピソードが印象的に描かれています。

続いて、中級編。しっぽの長い小さな女の子の名前は?

この子はサロメちゃん。小さくて、恥ずかしがりやな、クニット(はい虫)の女の子です。

彼女もめそめそ同様、『ムーミン谷の冬』でムーミン谷にやってきて、厳しい冬の間、ムーミンやしきに滞在します。
ムーミンやしきには他にもホムサフィリフヨンカなど、大勢が寝泊まりしていました。

サロメちゃんが自分の居場所にしたのは、ムーミンパパの大切な思い出の品である海泡石の電車(旧版ではトロッコ)。

ムーミンバレーパークのムーミン屋敷には、この挿絵を再現した精巧な模型があります。

サロメちゃんが泣いてしまった理由、そして、ホルンを吹き鳴らす大きなヘムレンさんとの心温まるエピソードは『ムーミン谷の冬』をどうぞ。

名前は出てこないので同一人物と断定はできませんが、絵本『さびしがりやのクニット』にもサロメちゃんによく似た姿が。

The little onesには原作小説の各巻から小さなキャラクターが選抜されていますが、『ムーミン谷の冬』からはめそめそサロメちゃんのふたりが選ばれました。
同書には他にも、ひっそりと生きるものたちが大勢登場します。目に見えないとんがりねずみ、「ラダムサ」と呟く片づけ台の下の住人、名前もわからない冬の生きもの……。
トゥーティッキ(おしゃまさん)ムーミントロールにこんなふうに語ります。

「あのね、この世界には、夏や秋や春には居場所のないのが、いっぱいいるのよ。
(略)みんな少しはずかしがりやで、ちょっぴり変わりものなの。夜になると動きだすけものとか、どこへ行っても場ちがいに感じてしまったり、だれのことも信じられない人たちとかね。そういうものたちは一年中、どこかにこっそりとかくれているの。そうして、あたりがひっそりとしてなにもかもがまっ白になり、夜が長くなって、たいていのものが冬の眠りに落ちたときに、やっと出てくる、というわけ」
(『ムーミン谷の冬』講談社刊/山室静訳/畑中麻紀翻訳編集より引用)

小さなキャラクターたちについては 「ムーミンの物語に込めたトーベの想い」でもご紹介しています。

 

さて、最後に上級編。もうひとり、冬にまつわるキャラクターに触れておきましょう。

この子の名前、わかりますか? ちょっと難しいかも?

短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録の「もみの木」に登場するキャラクター、旧版でははい虫、新版ではクニットと訳されています。
実はこの子、英語版では独自の名前があります。それはウッディー。パペット映画ムーミン谷とウィンターワンダーランド』でもウッディーと呼ばれていました。ベランダの雪の下に座っていたクニットのウッディーは、かわいそうに思ったムーミンママから温かいお茶をふるまわれます。正体不明の“クリスマスさん”への対応にてんやわんや、もみの木が必要と聞いたものの、どうしたらいいかわからなくて困っていたムーミン一家に「きれいなものでかざるんです」と教えたのがこの子でした。

この季節にぴったりの「もみの木」ムーミンクイズ第1回の「クリスマスツリーのてっぺんに飾ったのは?」でも取り上げました。
とても短いお話ですからぜひ実際にお読みいただきたいのですが、トーベ・ヤンソンの原作をもとに幼い読者にも親しみやすいように再構築した絵本『ムーミン谷のクリスマス』も出ています。カラーの挿絵が美しい、ギフトにもぴったりのシリーズです。

The little onesの個性的かつ魅力的なキャラクターたちについては、またの機会にそれぞれ詳しくご紹介したいと思います。

少し早いですが、今年もムーミン公式サイトおよびブログをご愛読いただき、ありがとうございました。どうぞ健やかに、よい年をお迎えください。

萩原まみ(文と写真)