ムーミンの新しい絵本シリーズを手がけたアーティストへのインタビュー

ムーミンの物語から、新しい絵本シリーズが生まれています。この世界中で愛されている物語は、どんなふうに幼い読者のための絵本に翻案されたのでしょう? この絵本シリーズを手がけた二人のクリエイター、アレックス・ハリディさんとセシリア・ヘイッキラさんにお話を伺いました。

『ムーミン谷のおはなし』と『ムーミン谷のクリスマス』は、3歳以上の読者を対象にしている絵本です。これは、トーベ・ヤンソンのもととなる小説、『小さなトロールと大きな洪水』、『たのしいムーミン一家』、そして短編小説「もみの木」を絵本化したものです。

アレックス・ハレディ(作家、以下ハレディ)絵本は3つのお話で構成されています。1つ目は、ムーミントロールと両親がムーミン谷への道を見つけるまでのお話です。2つ目のお話で、私はムーミン谷を訪ね、探検したいと思いました。子どもたちはムーミン谷の世界に足を踏み入れ、重要なキャラクターたちと出会います。そして最後のお話で、私たちは物語の世界の扉を開き、彼らはちょっとした冒険に出かけるのです。

アレックス・ハリディ  撮影/ステファン・テル

光と闇の魔法のようなバランスを取ること

ーー制作チームは、トーベの仕事を十分に表現したいと考えていました。どのような要素を残すことが最も大切だったのですか?

セシリア・ヘイッキラ(イラストレーター、以下ヘイッキラ)子どもの頃から、トーベ・ヤンソンの物語には魔法のようなタッチがあると思っていました。闇と光のバランスです。そのバランスに、絵と語り両方に備わっている知性と洞察力を失うことなく、強い感情と危機とを表現できる余地があるのだと思います。それを維持することが私にとって重要だったんです。

ハリディ:私たちにとって最も重要なことは、本の中の哲学的な要素を保つことでした。それを翻案することは、幼い読者だからといって知的レベルを下げることではないのです。

ページにトーベへの愛を振りかける

ーー多くの読者が強い思い入れを持っているこれらの作品を、どのようにして思い切って新しく解釈したのですか?

ハリディ:私はトーベ・ヤンソンをとても尊敬しているので、最初の頃は何もかも迷っていましたよ。

ヘイッキラ:私にとって最大の挑戦は、この大切な文化遺産を守ることでした。トーベ・ヤンソンを知っている人なら、誰もがムーミン谷とは何かを知っています。だから私は、この制作過程では、作品にそっと足を踏み入れ、できる限りの敬意を持って絵を扱うよう心がけました。本が出版されるという事実を考えないようにしなければならないほどでした。そうでもしなければ、怖すぎたんです。絵を描くテーブルに座って、私のトーベへの愛を絵に振りかけました。

ビデオインタビューでのセシリア・ヘイッキラ

ムーミンの本を食べたイラストレーター

ハリディとヘイッキラは、ふたりともトーベ・ヤンソンの故郷フィンランドに縁があります。

ハリディ:私はバイリンガルの家族に生まれました。母はフィンランド人です。両親は、よく、スウェーデン語とフィンランド語両方で読める本を選んで読んで聞かせてくれました。そうすると寝かしつけのとき、交代で読み聞かせできて便利だったんですね。母がフィンランド語で読んで、母が疲れたら、父が同じ本をスウェーデン語で読み続けてくれました。私にとってムーミンの世界はいつもそこにあったのです。

ヘイッキラ:自分で本が読めるようになる前、私はよく本を噛んでいました。だから、トーベの絵本を何ページか食べていると思いますよ。それから私はトゥルクの親戚の島の群島で、何度も夏を過ごしました。トーベの作品に出てくる植物や動物の多くは、子どもの頃に見たものだと思います。

 

 

ヘイッキラとハリディの他に、作家のセシリア・ダヴィッドソンと、クリスマス本の挿絵を担当したイラストレーターのフィリッパ・ヴィードルンドがムーミンの新しい絵本シリーズを手がけるチームに加わっています。このシリーズは、日本語では、徳間書店から「クラシック・ムーミン絵本」として出版されています。