スナフキンの楽器といえば何?

毎月、ブログ「ムーミン春夏秋冬」をお届けしている第1金曜日ですが、今月は久しぶりに「ムーミンクイズ~めざせ、ムーミン博士~」復活!です。

3月に入って、すっかり春めいてきましたね。

ムーミン谷の春といえば、ムーミンたちは冬眠から目覚め、スナフキンが旅から帰ってくる季節。
開業2周年を迎えるムーミンバレーパークでは、3月13日(土)から「春のしらべ」をモチーフにしたイベント新しいショー「自由でしあわせな生活」が始まりますよ。

そこで今回のクエスチョン、スナフキンが演奏する楽器といえば何?簡単すぎる~という声が聞こえてきそうですが、スナフキンは登場する媒体によってさまざまな楽器を手にしています。
そのなかのひとつを巡って、ちょっとした論争(!?)も……。
ひとつずつ取り上げていきますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

まず、ムーミンファンなら真っ先に浮かぶ答えは、小説でスナフキンが愛用しているハーモニカでしょう。
ハーモニカを手に入れた経緯などについては「スナフキンの宝物って何?」でも詳しくご紹介しています。実はこのハーモニカの材質、『ムーミン谷の仲間たち』(講談社刊/山室静訳)収録の「スニフとセドリックのこと」では、「金とローズウッド(かおりのいい木)」とされていましたが、畑中麻紀さん翻訳編集による新版で「金とジャカランダの木」に改められました。

ジャカランダは中南米原産、キリモドキ属ノウゼンカズラ科の樹木で、初夏に青紫の花を咲かせます。日本では熱海や宮崎、熱帯植物園などで見ることができるそうです。
マメ科のブラジリアン・ローズウッドもジャカランダと呼ばれることがあり、英語版でrosewoodと訳されたことから、日本語版でもローズウッドとなったのではないかと思われます。
ローズウッドの一種は日本では紫檀(シタン)と呼ばれ家具や楽器に使われる木材として知られていますから、わかりやすくするための意訳だった可能性も考えられます。次に、昭和世代の日本人ならついつい頭の中で再生してしまう♪おさびし山よ~♪の歌声。
そう、昭和アニメ『ムーミン』(フジテレビ系)でスナフキンが手にしていたのはギター

これは完全に日本のオリジナルで、ハーモニカを吹いているとセリフを喋ることができないというアニメならではの事情で、ギターに変更されたといわれています。
同作が放送された1969年といえば、まさにフォークソングブームまっさかり。フォークといえばアコースティックギターですから、そんな背景もあったのかもしれません。続いて、絵本を見てみましょう。
『さびしがりやのクニット』(講談社刊/渡部翠訳)で、重いカバンを抱え、歩き疲れたクニットの耳元に届いたうっとりするようなメロディー。
入り江でスナフキンが奏でていたのは、でした。

「草原をいく旅人には、重いものやきゅうくつなものはにあわない」と、荷物を持たず、いつも身軽なスナフキン。「長い旅にはカバンよりも歌のほうがうれしいものだよ」というフレーズも。

スナフキンの絵は挿絵と裏表紙で見ることができるのですが、比べてみると、不思議なことに気づきます。

片方の絵ではグレーの笛を右に、もう片方では白い笛を左に構えているのです。

通常、フルートのような笛は右と決まっていて、左では演奏できないんだそう。
もしかしたらスナフキンは笛すらも持っていなくて、その辺に生えていた葦の茎か何かで、即席の楽器を作って吹いているのかも?なんて想像が膨らみます。

さて、いよいよ本題です。

コミックスでスナフキンが弾いているこの楽器、いったいなんでしょう?

これは「ムーミン谷のきままな暮らし」第2巻『あこがれの遠い土地』収録/筑摩書房刊/冨原眞弓訳)の一場面。
春が来て、帰りを待ちわびていたムーミンとスナフキンの再会から始まる、今の季節にぴったりのお話です。

ムーミン谷に正しい市民の会メンバーを名乗る男があらわれ、ムーミンパパスノークのおじょうさんも義務感から仕事を始めます。元の生活に戻りたいと相談に訪れたムーミンをなだめ、「一曲どうだい?」と言うスナフキン。

こちらは「ムーミン谷への遠い道のり」第14巻『ひとりぼっちのムーミン』収録)。

ムーミン・コミックスには、スナフキンがテントでこの楽器を演奏するシーンがたびたび登場します。

新聞連載のコミックスですから、楽器の描写は簡略化されています。演奏の動きを見たり、音色を聞いたりすることもできません。

蛇腹楽器のなかで、比較的よく目にするアコーディオンは、今はピアノやオルガンのような鍵盤がついているタイプが主流ですが、スナフキンの楽器には鍵盤ではなく丸いボタンが並んでいます。ボタン式なのはバンドネオン?と思ってしまうのですが、ボタン式アコーディオンというものも存在するため、それだけでは判断できません。

素人には、なかなかの難問ですね。

ヒントは、第1巻『黄金のしっぽ』 にありました。

スナフキンは楽器を肩からストラップで下げています。これはアコーディオンの特徴のひとつ。バンドネオンは重いので肩に掛けるのではなく、膝などに乗せて演奏することが多いそうです。

グッズでもおなじみのこの絵では、スナフキンが軽々と楽器を持ち、歩きながら演奏しているのがわかります。

このイラストの元になったコミックス「ムーミン谷のきままな暮らし」のコマをよく見ると、ストラップらしきものがありますね。

ほかにも、アコーディオンは長方形で、バンドネオンは正方形のものが多い、バンドネオンにはボタンの横に持ち手がある、などの違いを考え合わせると、コミックスにおけるスナフキンの楽器はアコーディオンだと考えて間違いないでしょう。

過去に発売されたグッズのなかには、バンドネオンの原型である、やや小型のコンサーティーナを手にしたスナフキンが描かれた絵もあるのですが、それはトーベが描いたものではなく、アレンジなので、例外とします。

どれも蛇腹楽器の仲間であり、広義にはバンドネオンやコンサーティーナをアコーディオンと呼ぶこともあるようですが、厳密には別の楽器で、演奏方法も異なるそうです。

余談ですが、新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン2で漁師が演奏している楽器は、六角形の形状からコンサーティーナだと思われます。ぜひ好評発売中のBlu-ray/DVDでチェックしてみてください。

本国のムーミン公式サイトで、トーベ・ヤンソン自身がアコーディオンを演奏している写真を見つけました。記事はこちらからどうぞ。
2013年に書かれた森下圭子さんのブログ「フィンランドムーミン便り」 には「楽しいことが大好きで、宴がはじまると嬉々としてアコーディオンを奏でていたトーベ」という記述もあります。

Tove Jansson. Photo: Moomin Characters

 

話をスナフキンに戻しましょう。

ムーミン谷の名言シリーズ」第一弾として発売された『スナフキンのことば』(講談社刊)はもうご覧になりましたか?

新版ムーミン全集からスナフキンが登場する名場面の文章と挿絵を選りすぐり、「スナフキンの知恵」「自由! 自由!」「旅人として」などの項目ごとに構成。物語を通して読むのとはまた違う角度から、スナフキンの魅力が伝わってくる一冊です。
パラパラとめくって目にとまったページを拾い読みしたり、お気に入りの名言だけをじっくり読み返したり、贈り物にもぴったり!
もし、すでにムーミン全集や文庫セットをお持ちで、新版を揃え直すのをためらってしまう、なんて方がいらしたら、お手元の旧版と名言シリーズを比べてみるのもオススメです。

今回のムーミンクイズ、ベストアンサーはハーモニカですが、ギターアコーディオンも正解!

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萩原まみ