80組の名前ぜんぶ当てる!?【ムーミンクイズ】

ムーミンのお話には個性豊かなキャラクターが大勢登場すると言われます。でも、大勢っていったいどれぐらい……?

ムーミンたちは80年前に出版された最初のムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』で、ムーミン谷にたどり着く前からさまざまな出会いをしますし、小説『ムーミンパパ海へいく』で島に移り住んだり、コミックスではリゾートに出かけたり、西部劇の世界やロココ時代にタイムスリップしたり、ムーミン谷以外の場所でもたくさんの生きものたちと出会います。

ムーミン80周年を記念した新シリーズ「MOOMIN ALL STARSには、80種類のキャラクターが大集合。今回のブログ「ムーミンクイズ~めざせ、ムーミン博士~」は、この80組の出典を解きあかし、名前を当てるという大プロジェクトに挑戦したいと思います。ぜひいっしょに考えてみてください!

【目次】
1~13   ムーミン一家とおなじみの仲間たち
14~27 ムーミン家のお手伝いさん~リビエラの侯爵
28~38 人気急上昇中のご先祖さま~謎の3人組
39~49 冬の人気者ブリスク~リトルミイのきょうだいたち
50~59 そっくりさんのいる難問~超難問!
60~70 ティーティ・ウー~白の預言者
70~80 ひみつ工作員~火星人!?
68、74 最後の謎解き~正体不明のふたりはツーリスト!?

 

1~13はムーミン一家とおなじみの仲間たち

1~13はほぼ全員が小説コミックス絵本と、複数の作品で活躍、グッズでもよく目にするおなじみの仲間たちです。1主人公のムーミントロール、好奇心旺盛な男の子です。2ムーミントロールの親友で旅を愛するスナフキン3ムーミンママ4ムーミンパパはムーミントロールの両親です。

5はリトルミイ、小さいけれどパワフルなミムラ族の女の子。6はムーミントロールの友だちで、ちょっと怖がりやでキラキラしたものが大好きなスニフ。傘を持った7は前髪とアンクレットがチャームポイントのスノークのおじょうさん。ムーミントロールのガールフレンドです。

8スティンキーはいたずら大好き、コミックスのみに登場。9ミムラねえさんはリトルミイのお姉さんで、小説ではしっかり者ですが、コミックスではミムラと呼ばれ、恋多き女性として描かれています。

10はクリップダッス(ニブリング)。クリップダッスはスウェーデン語名で、小説『ムーミンパパの思い出』のニブリングは英語名。同じ種族でもさまざまな個体がいるようで、紙と鉛筆を手にしているのは「おかしなお客さん」(ムーミン・コミックス第6巻収録/筑摩書房刊/冨原眞弓訳、以下同)に出てくるとんでもないいたずらっ子です。

11のトゥーティッキは原作者トーベ・ヤンソンのパートナーがモデルで、手先が器用で聡明な女性。12の集団は謎満ちたニョロニョロたち。

13の虫眼鏡を持っているのは植物学者のヘムレンさん(コミックス第3巻「ジャングルになったムーミン谷」)。ムーミン谷には大勢のヘムル族が住んでいて、「MOOMIN ALL STARS」にも何人も登場しています。詳しく知りたい方はブログ「ヘムレンさんに愛を!」「もっともっとヘムレンさん!」をどうぞ。

 

14~27はムーミン家のお手伝いさん~リビエラの侯爵

ジャム瓶を抱えた14はムーミン一家のお手伝いさん、ミーサ(コミックス第12巻「ふしぎなごっこ遊び」)。悲観的な性格でしたが、ムーミン一家と出会って変わっていきます。小説『ムーミン谷の夏まつり』にもミーサがいますが、そちらは劇場で役者になったので、おそらく別人でしょう。
15の赤い服はフィリフヨンカ。ムーミン谷には複数のフィリフヨンカがいて、コミックスでは16の子どもたちといっしょにムーミンやしきの隣に住んでいます。

17の青い制服姿はムーミン谷の署長さん。ヘムル族のひとりで、コミックスの複数のエピソードで大活躍。署長さんを慕う18火星人の子ども(コミックス第7巻「まいごの火星人」)については80で後述します。

19、青いたてがみの花模様ははなうま(コミックス第4巻「恋するムーミン」ほか)。小説『ムーミンパパ海へいく』にはうみうまという神秘的な生きものが出てきますが、コミックスのはなうまは主にサーカスのお話に登場します。

20はリトルミイやミムラねえさん、スナフキンのお母さんでもある子だくさんミムラ夫人(コミックス第4巻「家をたてよう」)。小説新版『ムーミンパパの思い出』ではママミムラとも呼ばれています。

21の赤い帽子の小さな犬はめそめそ、その隣の22はスキーの好きなヘムレンさん。小説『ムーミン谷の冬』で、狼に憧れるめそめそが危機に陥ったとき、さっそうと現れたのがこのヘムレンです。ふたりは絵本『ムーミン谷へのふしぎな旅』でもいっしょに旅をしています。

23の黒いねずみと24の白いおなかのねずみはソフスいとこ。コミックスのあちこちにひっそりと顔を出しているので、ぜひご注目を。

25、顔が見えない赤いワンピースの女の子はニンニ(小説『ムーミン谷の仲間たち』収録「目に見えない子」)。辛い経験から姿をなくしてしまいますが、ムーミンたちと過ごすうちに少しずつ自分を取り戻していきます。

26の白いおばけ(コミックス5巻「イチジク茂みのへっぽこ博士」ほか)は、実はたくさんいるムーミン谷のおばけたちのうちのひとり。おばけなのに人を怖がらせるどころか自分が怯えています。

27はリゾート地でムーミンパパが意気投合するモンガガ侯爵(コミックス10巻「南の島にくりだそう」)。映画『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』の原作やイベントのモチーフになったお話で、「MOOMIN ALL STARS」にはモンガガ以外にもリビエラのキャラクターが3人もいるので探してみてください。

 

28~38は人気急上昇中のご先祖さま~謎の3人組

28はムーミン族のご先祖さま(小説『ムーミン谷の冬』)。先月のブログで詳しくご紹介しましたが、グッズショーで人気急上昇中!

29、赤いマントをひるがえし、黒ヒョウにまたがっているのは飛行おに(小説『たのしいムーミン一家』)。不思議な出来事を巻き起こす魔法の帽子を持ち主で、ルビーの王さまと呼ばれる宝石を探しています。それを持っていたのが、小さなふたり組トフスランとビフスラン30の赤いワンピースがビフスラン、帽子をかぶった31がトフスランです。

32のスラッとした横顔のマダム。コミックスの絵柄ですが、名前を即答できるでしょうか?

パッと脳裏に浮かんだ候補は、ムーミン谷のプリマドンナ(コミックス4巻「恋するムーミン」)か、ムーミントロールとダンスを踊るクールジャズが好きなご婦人(コミックス9巻「彗星がふってくる日」)。探してみると、どちらにもいません。ヒントは手にかけた服。こちらはスノークのおじょうさんが水着を買いに行くブティックの店員さん(コミックス10巻「南の島へくりだそう」)! お金を持っていなかったときは冷たくあしらいますが、カジノで大金を手に入れたおじょうさんが再訪すると、流行りの水着やアクセサリーを次々に薦めます。この細面でオシャレなルックスの人物は何人かいて、ムーミン谷の帽子屋さんも同じ種族のようです。

33、机に向かっているのはマーベル(コミックス12巻「ふしぎなごっこ遊び」ほか)。フィリフヨンカさんちのお手伝いさんで、妹のミーサ(14参照)にせっせと手紙を書いています。

34の紫色の服は動物学者のヘムレンさん(コミックス3巻「ジャングルになったムーミン谷」)。捕虫網と虫の入った瓶を持っていますね。小説にも昆虫好きなヘムレンさんが出てきますが、こちらはコミックスから。人食い植物は虫なのか植物なのかについて、同僚の植物学者(13参照)と対立しています。

35、白黒の犬はセドリック(小説『ムーミン谷の仲間たち』収録「スニフとセドリックのこと」)。生きているかのような切なく愛らしい表情ですが、ぬいぐるみなんです。
オムレツを食べながら不審そうな表情を浮かべている36フレドリクソン(小説『ムーミンパパの思い出』)。若き日のムーミンパパの親友で、冒険家であり、発明家です。

さて、37でぐっと難しくなりました。黒い燕尾服にシルクハット、ピンッと上がったヒゲ、サーカスの香りがしますね?

サーカスといえばコミックス「恋するムーミン」ですが、曲芸師のエメラルド(79参照)よりはシュッとしているような。こちらはタイトルからズバリ、「サーカスがやってきた」(コミックス9巻収録)で見つけることができました。動物愛護協会のメンバーたちから動物たちを自由にするよう詰め寄られて逃げ出したサーカスの団長。ステージで勝手にアシカといっしょにショーをやっていたムーミンパパに書類を見せ、何やら署名を要求しています。同作は1960年発表のコミックス第25作で、22話以降、トーベから執筆を引き継いだ弟のラルスによる作品です。

38の3人もラルス色の強い絵で、作業着のような服装から、鉄道作業員たち(コミックス第13巻「スナフキンの鉄道」)だとすぐわかりました。コミックスの登場人物は1コマ2コマしか出番がないと探すのが大変ですが、彼らはエピソード全編を通じて何度も出てきます。

39~49は冬の人気者ブリスク~リトルミイのきょうだいたち

39はスポーツ愛好家ブリスクさん(コミックス8巻「やっかいな冬」)MOOMIN ARABIA冬シリーズでおなじみですね。

40、青い服のふたりは海賊(コミックス11巻「おさびし島のご先祖さま」ほか)。ムーミンママの石庭づくりを手伝うため、石を運んでいます。
エンジ色の帽子をかぶって猫みたいに寝そべっている41はスナフキンの父、ヨクサル(小説『ムーミンパパの思い出』)。同作にしか出てこないにも関わらず、息子ともどもファンの多いキャラクターで、グッズにもしばしば登場。

さて、42の紺色のコートの人物、まったく見覚えがありません。ラルス作から探してみたところ、子連れでサーカスを観に来た観客(コミックス9巻「サーカスがやってきた」)だと判明! 37の団長と同じエピソードです。

43のメガネをかけたおばあさんはフルフィンスさん(コミックス6巻「おかしなお客さん」ほか)。意外な趣味の持ち主で、冬のムーミンやしきに滞在し、クリップダッス(10参照)に振りまわされるはめに。

黄色い服の44は、小説にもコミックスにも絵本にも登場するガフサ族のひとり。フサフサの髪が特徴で、性格や設定の異なる何人かがムーミン谷に住んでいます。この絵の出典は「Fuddler and Married Life」(未訳)でした。

45、座っている黒い服の男の子はホムサ(小説『ムーミン谷の夏まつり』)。居合わせたミーサと、ムーミン一家と共に、流れてきた劇場に移り住みます。

46はその劇場の主、エンマ。ムーミンたちにお芝居について教えてくれます。

47、海から姿を見せる巨体はドードー族のエドヴァルド(コミックス3巻「ムーミン、海へいく」)。陸上で船を作ったトゥーティッキは水に浮かべて出航するため、エドヴァルドに協力を仰ぎます。同じようなシチュエーションが小説『ムーミンパパの思い出』にも出てきますが、あちらのエドワードは見た目がなのに対して、こちらは人のような顔をしています。

48の杖をついた人物はスクルッタおじさん(小説『ムーミン谷の十一月』)。ムーミン一家不在のムーミンやしきにやってきて、ご先祖さまに関心を寄せる人物として先月もご紹介しました。

49は後ろ姿ですが、わかる方も多いかもしれません。そう、リトルミイのきょうだいたち! 最近はグッズでも大人気で、フェアも開催されているほどです。

50~59はそっくりさんのいる難問~超難問!

50はとっさにヘムレンさんと答えそうになって、よく見たらジェーンおばさん(コミックス14巻「ひとりぼっちのムーミン」ほか)でした。小説『ムーミンパパの思い出』のヘムレンさんにそっくりなのですが、コミックスではムーミンパパのおばさんとして登場します。ムーミン族なのかヘムレン族なのか、みなしごのはずのムーミンパパにおばさんがいるのか、謎がいっぱい。

51と52、ウェディング姿のふたり組はスニフの両親のロッドユールソースユール(小説『ムーミンパパの思い出』)「結婚式」が描かれる数少ないカップルです。コレクター体質で、足元にコレクションのボタンが散らばっていますね。

53のヘリコプター(コミックス11巻「おさびし島のご先祖さま」)は、ムーミン一家を乗せて嵐の空に飛び立ちますが、天候悪化で無人島に不時着。ムーミンの世界では物が人格を持ったりしゃべったりすることは少ないのですが、ヘリコプターは珍しい一例です。54-56を飛ばして、57の雲に乗った黒いシルエットの3人組は、無人島の洞窟で眠っていた太古のムーミン族のご先祖さまたち。のろし火や花火が大好きで、騒動を巻き起こします。海賊(40参照)も同じエピソードです。

54に戻って、切手収集家のヘムレンさん(コミックス第9巻「彗星がふってくる日」)。小説『ムーミン谷の彗星』にもよく似たヘムレンさんが出てきますね。

55はシュリュンケル博士(コミックス5巻「イチジク茂みのへっぽこ博士」)。タイトルでへっぽこ呼ばわりされている風変わりな精神科医です。

56のはりねずみ/ヤマアラシは、ねずみなどと並んでムーミンのお話のあちこちに顔を出しますが、こちらは特定することができませんでした。絵の雰囲気は明らかにラルスによるもので、『ムーミンキャラクター図鑑』によれば日本語未訳の「ムーミントロールとネアンデルタール人(Moomin in Neander Valley)」にはりねずみがいるようなので、そちらかもしれません。もし見つけられた方がいたらぜひ教えてください!

57は先ほどご紹介した無人島のご先祖さまたち(53参照)、 58のビキニ姿はリビエラに滞在する映画スターのオードリー・グラマー(10巻「南の島にくりだそう」)。スノークのおじょうさん憧れのセレブで、モンガガ侯爵(26参照)の友人です。59は一見、サーカスの衣装のような服を着ていますが、サーカス団長(37参照)ではありませんでした。どこかで見たような?と探してみたら、リビエラの市長! 指をさして怒っているのは、酔っぱらったムーミンパパとモンガガ侯爵が広場にあった知事の銅像を川に投げ込んでしまったからです。

 

60~70はティーティ・ウー~白の預言者

60と61はどちらも短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録作に登場、日本語ではい虫と訳されてきました。誤解されがちなのですが、はい虫は昆虫ではなく、小さな生きもの、といったニュアンスの種族名。毛むくじゃらで動物に近いクリュープとヒト型に近いクニットに分けられます。60はクリュープのひとりで、スナフキンに名前をつけてもらうティーティ・ウー(「春のしらべ」)。アニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン1「春のしらべ」など、アニメでも人気のエピソードです。61はクリスマスを知らずに右往左往するムーミン一家からお茶に招かれるクニット(「もみの木」)。日本語新版では原語のスウェーデン語のままクニットですが、英語ではウッディーという個人名が与えられていて、映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』でもそう呼ばれています。

ボートに乗った62魚収集家のヘムレンさん(コミックス9巻「彗星がふってくる日」)63の本を読んでいるのは哲学者のじゃこうねずみ(小説『たのしいムーミン一家』ほか)

ひときわ大きい64は、触るものすべてを凍らせてしまうモラン。どんな作品に登場しているかはこちらをどうぞ。

向かい合う6566は、クロットユールスクルッタ(コミックス5巻「イチジク茂みのへっぽこ博士」ほか)。さきほどのロッドユール(51参照)とそっくりですが、息子という設定なので、スニフの兄弟ということになります。ガールフレンドのスクルッタとは同作で出会ったのち、「Fuddler and Married Life(未訳)にて結婚と子育てのドタバタが描かれます。

青い制服の67がどのヘムレンなのか、少し迷いました。コミックスの署長さんは17で登場済みなので、小説『ムーミン谷の夏まつり』を見てみたところ一致する絵を発見。公園番とも似ていますが、こちらはムーミンたちをつかまえるろうや番のヘムル、挿絵の右の女の子はいとこのヘムルです。

さて、68のおしゃれなワンピースにバッグを斜めがけにした人物、これは最難問! ご存知の方はいらっしゃるでしょうか? まったく見当がつかないので、保留にして先に進むことにしたいと思います。

69の黄色いジャケット、ヒントは船の錨。トゥーティッキが造ってエドヴァルド(47参照)の助けで海に出航したタイフーン号に勝手に乗り込んでいた詩人(コミックス第3巻「ムーミン、海へいく」)です。ウィスキーやケーキをこっそり盗んだ挙げ句、キザなことばかり言う詩人にムーミンたちはうんざり顔ですが、なぜかスノークのおじょうさんはうっとり。

70は白の預言者(コミックス第5巻「預言者あらわる」)。「自由に生きよ」と説く白の預言者にムーミン谷のみんなが振りまわされるストーリーはこちらでご紹介しています。

  

71~80はひみつ工作員~火星人

最終グループはハードル高め。71の黒い帽子のふたり組、どこかで見たような?……とコミックスのページをめくってみると、第8巻「ムーミンパパとひみつ団」で姿を発見。難しいはずで、ひみつ工作員(スパイ)だから無難で目立たない恰好をしているわけですね。ただ、登場シーンが多く、ひとりは表紙にもなっているので、難なく探すことができました。

72の茶トラのちゃん。プシプシーナという黒猫を飼っていたトーベとトゥーティはたびたび猫を描いていますが、こちらとまったく同じ絵は見つけられず。シマシマの猫はコミックス「おさびし島のご先祖さま」「ふしぎなごっこ遊び」などに出てくるものの、ポーズが一致しませんでした。フィリフヨンカの家に猫の置物があったり、紋章が猫だったりもするので、生きものではない可能性もありそう。完全一致の場面を見つけた方はぜひ教えてください。

73、熊手を振り上げているのはヘムレンさん(小説『ムーミン谷の十一月』)。これまでのヘムレンさんとはおそらく別人で、「警察だぞ!」とおどけてみたものの誰もいなかった、という場面です。

74の幅広帽子をかぶってキセルのようなものを手にした人物。こちらはまったく検討もつかないため、保留にしておきます。

75は大蛇(コミックス3巻「ジャングルになったムーミン谷」)。動物園からスティンキーが逃がした動物たちのなかにはやサイなどがいますが、今回選ばれたのは蛇だけ。寒さのあまりマフラーを巻いたユニークな姿です。このお話はムーミンたちがカバと間違われるという衝撃の展開、詳しくはこちらをどうぞ。

76もやや難易度高め。

というのも、コミックスのいくつかのエピソードに似たようなルックスのキャラクターがたびたび登場するのです。こちらはスノークのおじょうさんのボーイフレンド(コミックス5巻「預言者あらわる」)。白の預言者の言葉に影響されたムーミン谷の住人たちは今までとは違う暮らしに挑戦(70参照)。新しいボーイフレンドと過ごすスノークのおじょうさんでしたが、彼に退屈し始めたとき、ワイルドな変装をしたムーミントロールが忍び寄って……。コミックスには他にもスノークのおじょうさんのボーイフレンドが何人か登場しますが、たいていはムーミントロールの魅力を再確認してハッピーエンドに終わります。

77のワイングラスを手にした帽子のキャラクターの特定にも手こずりましたが、『英語対訳 ムーミン・コミックス』収録作「ムーミン谷の芸術家たち」で発見! 画家のひとりのようです。 

78は意外に簡単で、小さな竜(小説『ムーミン谷の仲間たち』収録「世界でいちばん最後の竜」)。ムーミントロールが水たまりで捕まえて仲良くなろうとしますが、竜はスナフキンを気にいってしまうというちょっぴり切ないお話はアニメでもおなじみ。

79はサーカスの曲芸師で力自慢のエメラルド(4巻収録「恋するムーミン」ほか)

最後の80火星人の両親(7巻収録「まいごの火星人」)です。子どもがひとりで乗って出かけたUFOがムーミン谷に落下(18参照)、心配して迎えにきます。

 最後の謎解き~正体不明のふたりはツーリスト!?

さて、さきほど後まわしにした68と74のふたり、英語の名前がtouristだと判明しました。ということは、ふだんからムーミン谷に住んでいる人ではないようです。そこで、ムーミンたちが旅に出かける回を片っ端からあたってみました。服装から推察すると西部やロココではなさそう。リビエラにも見当たりません。ラルス作かもしれないと探し続けたところ、「Moomin the Colonist」の同じコマにいました!

日本語版はないため詳細ははっきりしませんが、1961年発表の第26話なのでラルス単独作のなかでは比較的初期の作品。英語版で読むことができます。

 

多様なムーミン世界をグッズでも!

この「MOOMIN ALL STARS」のおもしろいところは、グッズには起用されづらいキャラクターたちにスポットが当たっている点。2021年には小さな生きものたちを集めた「The little ones」というシリーズがあったり、「ムーミン谷の不思議な住人たち」と題したPOPUP SHOPが開催されたりといった試みがありましたが、今回は人数がケタ違い! グッズの種類も、ジグソーパズルアパレルステーショナリールームウェアダイアリーコースターと多岐に渡ります。

ちなみに、これでもまだ全員ではなくて、参考文献を紐解いてみると、シルケ・ハッポネン博士による『ムーミンキャラクター図鑑』は105項目。スナフキンのように単体の項目もあれば、ヘムル/ヘムレンさんのように種族として何人も取り上げられている項目もあり、工作員やスパイたち」「怪物や猛獣たちというくくりもあります。デアゴスティーニ・ジャパンの「ムーミンハウスをつくる」(販売終了)のマガジンでは全120号にわたってムーミントロールから絵本のスサンナに至るまで、各キャラクターの性格、相関図、名言、アニメ作品での描かれ方など、掘り下げて紹介。つまり、最低でも120人以上がムーミンの世界で生きているといえます。  

こうして80組をひとりひとり見ていくと、確かに豪華オールスターズ!と納得する一方で、スターと呼ぶには渋すぎるキャラクターも混じっているような、オールというには足りないキャラクターもいるような……。個人的には、ウィムジー、サロメちゃん、黒の預言者、気象学者、グリムラルンあたりがいないのはちょっと意外だったのですが、考え始めると止まらなくなってしまいます。あなたのお気に入りは80組のなかにいたでしょうか? 初めましてのキャラクターと出会った方はぜひ原作と照らし合わせてより深く知り合ってみてくださいね。

文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara)