犬の日にちなんで、ムーミン谷の犬のこと【ムーミン春夏秋冬】

2月22日がニャンニャンニャンで猫の日なら、11月1日はワンワンワンで犬の日

今年2022年2月22日は2が6つも並ぶスペシャルな猫の日として話題を集めましたね。
ブログ「ムーミン春夏秋冬」でも「2022年2月22日、猫の日にちなんで」と題し、ムーミンのお話に登場する猫をご紹介しました。

このブログ公開日は11月4日ですから、1日の犬の日は過ぎてしまいましたが、11月5日は干支の戌の日
日本記念日協会によれば、11月22日はワンワンニャンニャンで「THANKS PETS DAY(ペットたちに感謝する日)」なんだそうです。
そもそも犬好きさんにとっては毎日が犬の日!ですよね。

ムーミン谷の犬といえば、めそめそ

ムーミンシリーズに出てくる犬といえば真っ先に浮かぶのが、小説『ムーミン谷の冬』の小さな犬、めそめそ
めそめそについては「ムーミン谷の冬の住人、この子たちの名前は?」で、性格や名前の由来について詳しく書きましたので、ご参照ください。 

秘密を抱えて顔を隠す犬、インク

今回は、ムーミン・コミックス第12巻『ふしぎなごっこ遊び』(冨原眞弓/訳 筑摩書房/刊)を掘り下げてみたいと思います。 

几帳面なフィリフヨンカからお手伝いさんを雇うよう勧められたムーミンママ。募集に応じてやってきたのは、不器用で怖がりのミーサでした。
ミーサの後ろには犬のインク(英語名はピンプル)。

インクは「みっともない秘密」を誰かに知られたらどうしようと、いつもマスクをつけて不安げな顔を隠しています 

陽気なムーミン一家と過ごすうちに、少しずつ気持ちがほぐれ、秘密を打ち明けたいと思いはじめたインク。
ムーミンママに優しくうながされ、ついにマスクをはずすと、「ぼく、猫が好きなの」と、告白します。 

「犬なのに猫しか好きになれないなんて、変」と、ずっと悩んでいたのです。
そんなインクをムーミンママはおおらかに受け止め、「犬でも猫でも、何かを好きっていう気持ちが大切なのに」と呟きます。

 

ムーミンママの妙案、犬を猫に!?

ムーミンママは犬のインクと遊んでくれる猫を探しますが、断られてしまいます。
そこで、白い犬に猫みたいな縞模様を描かせてもらい、インクと引き合わせました。 

すっかり意気投合した二匹でしたが、疑り深いミーサに正体をバラされてしまいます。
それでもインクの気持ちは変わらず、二匹は仲良しのまま!

大切なのは「好き」という気持ち

このエピソードは、クィア(Queer=同性愛だけでなく既存のカテゴリに当てはまらない人も含む性的マイノリティの総称)やジェンダーの視点で読み解かれることがあり、本国サイトのブログでも紹介されています(日本語版はこちら)。
ヘルシンキで開催されたTove Festival 2021のクィアをテーマにしたシンポジウムでは、ゲイの登壇者が若い頃からこのエピソードが大好きだったと語りました(トーベ・フェスティバルに関する森下圭子さんの記事はこちら)。

犬は犬、猫は猫、同種のものを好きになるのが当たり前で、猫が好きな犬なんておかしいと悩んでいたインクは、最終的に犬と仲良くなって“多数派に変わります。
つまり、少数派を肯定するにとどまらず、犬が好きでも猫が好きでも(そしてそれが変化することがあっても)、ありのままの自分を受け入れよう、というメッセージが伝わってくるような気がしました。

お手元にコミックスがあれば(なければ手に入れて、もしくは、ムーミンバレーパークライブラリーカフェなどでも読むことができます)、ぜひ、読者それぞれ、ご自分なりの感想を見つけてほしいなと思います。

コミックスの犬は他にも!

ムーミン谷にはインク以外に、服を着た耳の黒い犬が暮らしているようです。
名前が出てこないのではっきりしませんが、耳の形がインクとは違いますね。

こちらは「ムーミンママの小さなひみつ」(第2巻『あこがれの遠い土地』収録)
どこからともなく現れた犬は、ムーミントロールと遊びたくて、ムーミンママの大事なハンドバッグをくわえて逃げ、騒ぎを引き起します。

やんちゃな犬のかわいらしさが詰まったこちらのエピソードも必読ですよ! 

11といえばニョロニョロ

ところで、ムーミンファンにとっては、11という数字から連想するのはニョロニョロ
毎月11日をニョロニョロの日として、オリジナルデザインの缶バッジやラテの販売などの催しが行われてきました。

また、ムーミンバレーパークのあるメッツァは犬や猫など、ペット連れでも楽しむことができます。
この夏から、バーベキュー、ボートレンタル、RVパークなど、アウトドア施設がますます充実。

ムーミンバレーパークのハーベスト2022は今週末11月6日(日)までですが、ムーミン谷のナイトウォーク~イルモリノオト~は始まったばかりです。
最新情報をお確かめの上(ペット連れの方はマナーにもしっかり目を通して)、ぜひお出かけくださいね。

園内にはこんな犬の飾りも。どこにあるのか、原作のどんな場面の絵なのか、探してみましょう!

文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)