「トーベとムーミン展」ついに開幕!【ムーミン春夏秋冬】

東京・六本木の森アーツセンターギャラリーにて、ついに始まった「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」。今回のブログ「ムーミン春夏秋冬」では、その魅力の一端をご紹介したいと思います。会期は917日(水)まで、その後、北海道、長野、愛知と巡回していきますから、これから行くご予定の方は予習を、もう行った!という方は振り返ってお楽しみください。

画家としてのトーベ

今回の展示はフィンランドのヘルシンキ市立美術館(HAM)の協力のもとに企画されたもので、メディア向けに行われた内覧会にはHAM館長のアルヤ・ミッレル氏()とキュレーターのヘリ・ハルニ氏()が登場。ムーミントロールも駆けつけてくれましたよ!(※2025年8月1日現在、会期中会場内におけるグリーティング開催予定はありません)

背後に見えるのは、アウロラ病院小児病棟の階段にある壁画「遊び」のコンペティション用のスケッチ。大勢のキャラクターが登場する、明るい気持ちになれそうな絵で、スケッチの完成度の高さに驚かされます。ムーミンバレーパークコケムス階段の複製を思い出す方もいらっしゃるかも?

展示は「第1章 トーベ・ヤンソン」からスタート。画家を志し、さまざまな分野で才能を発揮したトーベの足跡を辿ることができます。


©Tove Jansson Estate

広い展示スペースの左側には、自画像や人物画、風景画などの油彩が年代順に見やすく並べられています。


©Tove Jansson Estate

右側の壁面では、トーベが公共施設のために手がけたアートを紹介。日本に持ってくるのが難しい壁画は複製での展示ですが、そのスケールに圧倒されます。コトカ市の保育園に描かれた2枚組の「フェアリーテイル・パノラマ」は、木炭の下絵とカラフルな完成形を映像で表現。2面合わせて幅約7メートルの実物大で、迫力満点です。

下絵は近年新たに発見され、HAMで初公開されたもの。技術者の手によって丁寧に修復された下絵がゆっくりと色づいていくさまは、まるでトーベの制作風景を目の当たりにしているかのよう。手前にいるのはスノークのおじょうさんでしょうか、よく見るとムーミンママトフスランとビフスランスナフキンニョロニョロらしき姿も。や小さな生きものたちがのびやかに描かれ、時のたつのを忘れて見入ってしまいます。写真では伝わりづらいと思いますので、ぜひ会場で隅々までご覧ください!

中央のケースには、ムーミン小説の初版本、表紙や挿絵を手がけていた雑誌『ガルム』などが納められています。80年前に出版された最初のムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』もありますよ。

ムーミン アラビアのオペラマグで注目を集め、本展会場限定グッズのなかでも大人気のトートバッグとポーチのモチーフになったムーミンオペラのポスターとパンフレットも!

奥へと進んでいくと、トーベのアトリエの空気を感じられる一角が。窓から見えるヘルシンキの風景、絵の具箱、パレット、誕生日にかぶっていた花冠、めがねなど、アトリエを訪れたような気分を味わうことができます。壁面展示には制作年もキャラクター名もはっきりしない珍しいスケッチがあり、初めて目にするものもたくさん。
また、『小さなトロールと大きな洪水』やトーベのムーミン以外の小説の翻訳を数多く手がけ、評伝『トーヴェ・ヤンソン ムーミン谷の、その彼方へ』が遺作となった冨原眞弓さんに宛ててトーベが送った直筆の手紙も初公開されています。


©Tove Jansson Estate

 

物語の世界に没入

ムーミン小説の全9巻をイメージしたゲートを抜けると、小説の挿絵を大きく投影した「挿絵没入映像エリア」が。『ムーミンパパ海へいく』『ムーミン谷の冬』など、場面によって四方の壁面と中央の柱に動く絵が映し出され、物語のなかに入り込んだみたいな臨場感!

 

ムーミンやしきの扉を開けると?

次に現れるのは、青い壁に大きな扉。ムーミン80周年のテーマである“The door is always open”と記した札がかかっています。ここから先は第2章「ムーミンと仲間たち」。とても見応えのある展示が続きます。

何パターンものスケッチの数々で構成されたキャラクター紹介コーナーには、本には使われていないユニークな絵がズラリ! リトルミイ以外にもムーミンパパトゥーティッキもいますよ。

物語ごとに、スケッチや名言を交えてじっくりと掘り下げていきます。改訂で差し替えられた挿絵が並べられているのもとても貴重。

 

コミックス、絵本も

コミックスは印刷見本、下描き、キャラクタースケッチなどを展示。印刷物として残る完成形と見比べると、トーベが真剣に取り組み、試行錯誤した様子が伝わってきます。

試行錯誤といえば、絵本『ムーミン谷へのふしぎなたび』のコーナーも、最終形とは異なる色づかいのデッサンがとても興味深かったです。

レアな写真満載の年表コーナー。ほぼ等身大の座るトーベの写真は1971年に初来日した際に撮影されたものなんだそうです。

出口付近には、物語に出てくる印象的な言葉を集めた名言コーナーがあり、好きな言葉のカード1枚お持ち帰りOK

 

とっておきを探して

今回、うれしいことに会場内の写真撮影が可能(一部除外あり、接写や動画NGなど、条件をお確かめの上、他の方の鑑賞の妨げにならないようご注意ください)

会場のあちこちに初見の作品が潜んでいて、時間がいくらあっても足りない!と思ったほど。

ご覧のようにグッズの原画もあれば、書籍やグッズでもこれまであまり見たことがないようなイラストも。

大きな壁画も小さな挿絵も、丁寧に描き込んだ絵もサインの横にさらっと添えたようもカットも、すべてにトーベらしさがあふれています。

展示品はなんと約300点! がんばって一度に全部見ようとするよりも、何度か訪れれば、そのたびに新しい発見がありそう。会期中にグッズが完売したり追加されたりする可能性もありますし、会場によって雰囲気が変わるかもしれませんから別会場で見るのもまた一興。

あなたの「とっておき」を見つけたら、ぜひ周りの方やSNSなどでもシェアしてくださいね。

 

グッズもフードも!

展示をより深く楽しむために、俳優の杏さんによる音声ガイドもおすすめです。優しい語り口で、鑑賞を盛り上げてくれます。
そして、ここからがまた大興奮の物販コーナー。会場でしか買えないオリジナルアイテム、選び抜かれた国内外のグッズの充実ぶりにワクワクが止まりません!

会期中、同じフロアの「THE SUN & THE MOON (Cafe)」にてコラボカフェもオープン。キャラクターをイメージしたドリンクや北欧風のフードなど、どれも工夫が凝らされていて見た目からもうテンションが上がります。カフェは美術館入館券か展望台チケットがあれば入れますので、何回か通いたいですね。

「トーベとムーミン展」の詳細、最新情報は公式サイトをご確認ください。

8月9日のムーミンの日もいよいよ目前。本日81日からはムーミンバレーパークに新エリア「湖上のテラス」がグランドオープンしました。暑さ対策を万全にして、ムーミンいっぱいの楽しい夏を過ごしましょう!

文と写真/萩原まみ(textphoto by Mami Hagiwara