ムーミンが恋したお相手は……!?

来週2月14日はバレンタインデー。街にチョコレートの甘い香りが漂い、ハートをモチーフにした華やかなポスターやディスプレイがあちこちに! プレゼントにぴったりのムーミンのアイテムロッテのリルフィーカ、バレンタイン特別仕様のメリーチョコレートムーミンDECOチョコ&プレートチョコレートピエール・エルメ・パリのマカロンブルガリ イル・チョコラートにと、選択肢いろいろでうれしい限りですね。

さて、今回はバレンタインにちなんで、恋のお話を。ムーミンシリーズのラブラブカップルといえば、ムーミントロールスノークのおじょうさん(コミックスではスノークの女の子)。ムーミン・コミックスには『恋するムーミン』(筑摩書房刊/冨原眞弓訳)なんてタイトルのエピソードもあります。ところが、このお話、ムーミンが恋する相手はなんとスノークのおじょうさんじゃないんです。まさか、ムーミンが浮気!? いったいどういうことなんでしょう?

小説『ムーミン谷の彗星』で、食肉植物に襲われたスノークのおじょうさんをムーミントロールが助けたことから、ふたりは仲良くなります。続く『たのしいムーミン一家』の微笑ましいやりとりはブログ「海からの贈り物」でもご紹介しましたね。『ムーミン谷の夏まつり』では家族と離ればなれになったふたりが励まし合いながら旅を続けます。

一方、コミックスではふたりの関係やキャラクターが少し違うふうに描かれています。『恋するムーミン』のストーリーを見てみましょう。1カ月も雨が降り続き、ロマンチックな本ばかり読んでいたムーミンは「どうして 本のヒロインって いつもすてきなのかなぁ 自分がつきあってる相手よりもね…」と、すっかり人が変わったよう。流されてきたサーカスの看板を見つけて、「プリマドンナはぶじだろうか?」と案じます。そこに現れたのが、プリマドンナの馬。ムーミンはプリマドンナを救出に向い、ムーミンやしきに招きます。大人の魅力にあふれた美しいプリマドンナにムーミンはのぼせあがってしまいますが、彼女はわがまま放題でつれないそぶり。そんな様子を見たスノークのおじょうさんは当然、おもしろくありません。ふたりの気持ちはすれ違い、おじょうさんは家出! プリマドンナのおかかえ曲芸師のエメラルドも巻き込んで、どんどん騒ぎが大きくなっていきますが……。

テンポよく、ストーリーが二転三転していくこのエピソードには、いろんなおもしろさが詰まっています。まずは、登場人物たちの心理描写と生き生きとした表情。プリマドンナに熱を上げて振りまわされる無邪気なムーミンと、スノークのおじょうさんの複雑な乙女心、ふたりの仲を取り持とうとして引っかきまわすミムラちびのミイ、素直になれないプリマドンナとエメラルド……。グッズでも人気の高いはなうま(このエピソードではプリマドンナの馬、サーカスの馬とも呼ばれています)も大活躍。こんな名言も飛び出します。

「最初の恋と最後の恋 ちがいはいったいなあに? これが最後と思うのが最初の恋、これが最初と思うのが最後の恋 …なんてね」(『恋するムーミン』筑摩書房刊/冨原眞弓訳より引用)

また、ムーミン谷が洪水に見舞われる様子は、75年前に出版された第1作『小さなトロールと大きな洪水』や『ムーミン谷の夏まつり』でも描かれていますが、小説とコミックスにはよく似た描写がいくつか出てきます。例えば、小さな動物たちがムーミンやしきに避難してくるところもそうですし、ムーミンパパが床に穴を開けたり、ムーミンが潜ってコーヒーを取りにいったりする場面も。コミックスと小説を読み比べて、違いと共通点を探してみるのも一興です。

コミックス『恋するムーミン』

小説『ムーミン谷の夏まつり』

 

コミックス『恋するムーミン』

小説『ムーミン谷の夏まつり』

 

今回のエピソードでは、よそ見をしたのはムーミンでしたが、コミックスの他のお話ではキョロキョロすることが多いのは実はスノークのおじょうさんのほう。『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』としてアニメ映画化された「南の島へくりだそう」でも、おじょうさんがクラークと仲良くなり、ヤキモチを焼いたムーミンが決闘を申し込む場面が出てきます。『ムーミンキャラクター図鑑』には「スノークのおじょうさんのボーイフレンドたち(一部)」なんて項目があるほど。
どうなっちゃうの~!?とハラハラさせられることもしばしばのふたりの仲ですが、心配はご無用。いつだって最後にはちゃんと仲直りしていますよ。萩原まみ