「コメット イン ムーミンランド」がもっと楽しくなる基礎知識7選【ムーミン春夏秋冬】

昨年は初のムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』の誕生から80周年、今年は第2作『Kometjakten(『彗星追跡』)が発表されてから80年目にあたります。
今回のブログ「ムーミン春夏秋冬」は、2026年限定の新しいアートシリーズ「COMET IN MOOMINLAND(コメット イン ムーミンランド)をもっと楽しむために、ぜひ知っておいていただきたい基本的な7つの事柄について解説します!

80年前に出版された『彗星追跡』とは?

実はムーミン谷に彗星が接近するお話はひとつではありません。小説だけでなんと3バージョンもあるんです。
1946年に出版されたのは『Kometjakten(『彗星追跡』)。作者トーベ・ヤンソン1956年に『Mumintrollet på kometjakt』(『彗星を追うムーミントロール』)、 1968年に『Kometen kommer(『彗星せまる』) と改訂を重ねました。日本語の新版『ムーミン谷の彗星』1968年の最終形が底本です。

ちなみに「COMET IN MOOMINLAND」は英題。英語版は長い間、1946年バージョンのままでしたが、80周年を記念して1968年バージョンからの新訳が発売されました。現時点では両方とも流通していますので、日本版とは異なる挿絵を見たい方は旧訳をチェックしてみてください。

▷改訂によってムーミンたちの姿も大きく変化。挿絵の違いは本国サイト→「How Tove Jansson’s drawing style and the Moomins developed over the decades」「Comet in Moominland – everything you need to know about the book」

『ムーミン谷の彗星』ってどんなストーリー?

ここからは日本語版の『ムーミン谷の彗星』に基づいて、ご紹介していきましょう。

あらすじを簡単にまとめると、ムーミン谷に赤く光る不気味な彗星が接近、その正体を知るためにムーミントロールスニフは天文台へと旅立ちます。ふたりを待ち受けていたのは、新しい出会いや胸躍る出来事、恐ろしい怪物と戦ったり、お腹を空かせたり、ダンスを楽しんだり、さまざまな冒険の数々でした。

ムーミン谷が舞台となる最初のお話

前作『小さなトロールと大きな洪水』で、ムーミン谷にやってきたムーミン一家とスニフ。第2作『ムーミン谷の彗星』は、そのムーミン谷での穏やかな日々から始まります。

読者同様、ムーミンたちもまだ自分たちが住んでいるのがどんなところかよく知りません。
ムーミンパパムーミンやしきの前の川に橋を造り、スニフは森の先へと続く新しい道を見つけます。道を抜けた先に広がっていたのはムーミンたちの大好きな海! 砂浜と、岩山の先にはどうくつもありました。

▷ムーミン谷の地図と各スポットの説明は→こちら

ムーミンママの旅支度

ある朝、穏やかなムーミン谷に異変が。あたり一面、灰に覆われて、薄汚れています。原因は彗星の接近でした。じゃこうねずみから「地球がほろびる」と聞かされたムーミンたちは怖くて遊べなくなってしまいます。
このままではいけないと考えたムーミンパパは、彗星について調べるために子どもたちだけで天文台に向かわせてはどうかと言い出しました。
初めての大冒険に挑む息子たちのためにムーミンママが用意したのは、サンドイッチ、パンケーキ用のフライパン、セーター、ウールのズボン、リュックの左ポケットにはおなかの薬……。挿絵を見ると、傘、ボトル、フルーツもたくさんありますね。

▷いざというときに困らないよう、常に備えているムーミンママ。いつも肌身離さず持ち歩いているハンドバッグの中身とは?

ムーミントロールとスナフキンとの出会い

いかだに乗って出発したムーミントロールとスニフ。濁った川を下って、日が暮れかけてきた頃、川岸に何か黄色いものが見えました。
テントからはハーモニカの音が聞こえてきます。ムーミントロールが用心しながら、「ハロー?」と声をかけると、テントからあらわれたのは古びた緑の帽子をかぶってパイプをくわえたひとりのムムリク。そう、スナフキンです。
スナフキンが「きみたち、コーヒーを少しいかだにのせていないか?」と訊くと、スニフがはしゃいで「缶にいっぱい持ってるさ!」と答え、いかだを着岸。3人で火を囲んで、コーヒーを飲みました。

▷旅を通じて固い絆で結ばれ、親友となるムーミントロールとスナフキン。これが記念すべき出会いの場面です。ふたりの友情については→「バレンタインは友情の日」

スノークのおじょうさんとのなれそめ

おさびし山を登り、天文台を目指す一行。スナフキンは少し前に出会ったスノーク兄妹について語ります。
仕切り屋でなんでも細かく調べたがる兄のスノークと、きれいな前髪を持ち、左足に金の輪をはめたスノークのおじょうさん。姿は親戚かと思うほどムーミン族によく似ていて、気分によって体の色が変化するのだとか。ムーミントロールは「色が変わるようなやつは親戚じゃない」と反論しつつも、自分そっくりな女の子のことが妙に気にかかりました。

崖で光るものを見つけ、危険をおかして拾い上げたムーミントロール。小さな金の足輪はスノークのおじょうさんのものに違いありません。その身を案じるあまり、やっと天文台に着いたのに彗星などそっちのけという始末。

森の中から、かん高い悲鳴が聞こえたとき、スノークのおじょうさんが助けを求めている!と察知して、短い足でせいいっぱい走って駆け寄りました。そして、おそろしい食肉植物のアンゴスツーラに勇敢に立ち向かい、見事、救出! 感激するスノークのおじょうさんに金の足輪を差し出したのです。

▷仲良しカップルとして知られるムーミントロールとスノークのおじょうさん、こんなロマンチックななれそめだったんですね。その後のふたりの意外な恋模様については→「ムーミンが恋したお相手は……!?」

スニフの口癖は?

もうひとりの大切な仲間、スニフにもご注目!

怖がりやで、しょっちゅう弱音をはいて、ムーミンたちを呆れさせるスニフ。何度も口にするセリフは「げろが出ちゃう」「げろをはいちゃうぞ」。森の売店では大好きなレモネードをぐいぐいと一気に飲んで、本当に戻してしまいました。

スニフがキラキラと目を輝かせて元気になるのは、たくさんのガーネットに囲まれたり、難破船で宝石のついた短剣を見つけたりしたとき。無邪気な子どものようですが、天文台で学者から上手に話を聞き出す、しっかり者の一面もあります。

▷旅の間もずっと、どうくつで出会った子ネコを気にかけていたスニフ。彼のけなげさが伝わるエピソード→「手放すこと、本当に大切なもの――スナフキンがスニフに語ったお話」

どんどん広がる「コメット イン ムーミンランド

COMET IN MOOMINLAND(コメット イン ムーミンランド)」は、ムーミントロールが登場するグリーティングイベント、グッズなど、1年を通じて展開していきます。最新情報は公式サイトにて随時お知らせしますので、どうぞお楽しみに!
アートに込められたテーマは、“We are braver together.“。原作小説『ムーミン谷の彗星』を読んで、そのメッセージについても考えていただけたらとてもうれしいです。

▷公式ショップ限定を含むグッズは→ムーミン公式ショップ MOOMIN SHOP ONLINE

 

文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara