ムーミン谷のお父さんたち【ムーミン春夏秋冬】

621日(日)は父の日。ムーミンのお話に出てくるお父さんといえば、ムーミンパパが真っ先に浮かびますね。ブログ「ムーミン春夏秋冬」では、「父の日によせて、ムーミンパパのこと」や、いつもかぶっている帽子に着目した「ムーミンパパの帽子のひみつ」などの記事でムーミンパパについて詳しくご紹介しています。今年はムーミンパパだけでなく、ほかのお父さんたちにも注目してみましょう。

スナフキンのお父さん、ヨクサル

ムーミンパパが若き冒険の日々を回想する小説『ムーミンパパの思い出』。ムーミンパパはまだパパではなく、ムーミントロールと呼ばれていました。

当時の冒険仲間たちは後に子どもを持って父親となりますが、そのなかのひとりがスナフキンのお父さん、ヨクサル。ブログ「赤い帽子のスナフキン!?」でもお伝えしたとおり、最近、特に人気を集めているキャラクターで、グッズも「ヨクサルとスナフキン」シリーズをはじめ、江戸切子ぬいぐるみなど続々発売。

「眠るか、食べるか、うつらうつらしているか」という、おっとりした人物ですが、何かを禁止されたり強制されたりすると人が変わったかのように反発を示します。見た目だけでなく、性格も息子のスナフキンによく似ていますね。

ヨクサルは旅の途中にたどり着いた王さまの島で、ミムラねえさんミムラのむすめリトルミイ(ちびのミイ)の母親であるミムラ(ママミムラ/ミムラ夫人)と知り合い、意気投合して、スナフキンが生まれました。

スニフのお父さん、ロッドユール

もうひとりの冒険仲間、ロッドユール片手鍋を帽子のようにかぶっていて、ボタンや小さなガラクタを集めるのが大好き。不器用ながらも、仲間たちのためにご飯を作ったり、船を塗るお手伝いをしたりする、愛すべき人物です。おっちょこちょいで、ちょっと気が弱いところは、息子のスニフにそっくり。

ソースユールと出会い、ボタンの交換や散歩を通じて愛を育んで、結婚。ふたりの間にスニフが誕生しました。

ロッドユール生き写しの息子、クロットユール

ちょっとややこしいのが、コミックス『イチジク茂みのへっぽこ博士』などに出てくるクロットユールの存在。ブログ「このキャラは誰?」でも取り上げたのですが、見た目がロッドユールに瓜二つなんです。

ムーミンパパが「昔の友だち、ロッドユールにそっくりだ」と言うと、クロットユールは写真を取り出して、「それはぼくのお父さんです」と答えました。コミックスではスニフも活躍しますが、クロットユールとスニフの関係は定かではありません。この一族に共通するのはコレクター体質だという点です。

クロットユールはゲーム『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』の追加コンテンツ「恋に落ちたクロットユール」でもフィーチャーされています。

また、ブログ「ムーミン谷の赤ちゃんと子どもたち」で触れたように、ラルス作のコミックス『Fuddler and married life』は、赤ちゃんのお世話をすることになったクロットユールの新米パパぶりをユーモラスに描いた作品です。

ホムサ一家のお父さん

短編「ぞっとする話」(『ムーミン谷の仲間たち』収録)には、ホムサの一家が登場します。ありえないと思われることを悪気なく喋る想像力豊かな子にどうやって対応すべきか、頭を悩ませるホムサのパパとママ。この挿絵は家を飛び出した息子ホムサと迎えに行ったパパの姿です。親の立場、子の立場、どちらでもないリトルミイの立場、視点を変えてみるとさらに味わいが増す佳作、ぜひ読んでみてください。

父親としてのムーミンパパと息子ムーミントロール

ムーミン一家においては、ムーミンママの存在感が大きく、息子のムーミントロールとの絆を感じさせるエピソードがいくつもあります。一方、ムーミンパパは自身がちょっと子どもっぽい一面があり、短編「ニョロニョロのひみつ」 (『ムーミン谷の仲間たち』収録)では家族を置いてニョロニョロを追って旅に出てしまうし、コミックス「ムーミン谷への遠い道のり」でもせっかく家族が再会できたのに自由を求めて洞窟に逃げてしまいます。

小説『ムーミンパパ海へいく』の冒頭、ムーミンパパは家族が自分を頼ってくれないと気を悪くして、秋の気配を感じたムーミンママがランプを灯すと「ランプをつける時期を決めるのは、その家の父親なんだが――」とつぶやきました。そして、一家はムーミン谷での穏やかな暮らしを捨てて、灯台の島へと移り住むことに。
島でそれぞれの時間を過ごすうちにムーミンパパの心境は変化し、ムーミントロールは成長していきます。このとき、ムーミンパパはそれまでとは違う、大人に対する態度で息子に話しかけ、ムーミントロールはそれを誇らしく思ったのです。

アニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン23話は「ムーミンパパとその息子」。このエピソードだけでなく、複数の原作を組み合わせて再構築しているため、新鮮なおもしろさがあります。DVDや配信などでぜひどうぞ。

多様な家族のありかた

ムーミンシリーズにはさまざまな家族、親子の形が出てきます。たとえば、ミムラねえさんやリトルミイの母親はミムラ夫人ですが、父親については明らかにされていません。『ムーミンパパの思い出』で共に冒険の旅に乗り出した4人のうち、3人は父親になりましたが、ムーミンパパの最初の親友、発明家のフレドリクソンは単身のままのようです。

物語の終わり、離ればなれだった家族が一堂に介する場面ではスニフはロッドユールとソースユールと、スナフキンはヨクサルと、フレドリクソンはムーミンパパと抱き合って、再会を喜び合っています。

ムーミンやしきの扉にはカギがかかっておらず、The door is always open。血縁ではないスニフやリトルミイ、スノークのおじょうさんトフスランとビフスランなどの客人たちが家族同様に暮らしています。

スナフキンと森の子どもたち

小説『ムーミン谷の夏まつり』で、24人もの森の子どもたちの世話をするはめになったスナフキン。「父親ともなれば、こんなふうになってしまうんだなあ」としみじみ考えながら、子どもたちが風邪をひかないよう気を配り、泣きだしたら「あばばのばあ、ぷるぷるぷる!」となだめ、ご飯をどうするか頭を悩ませます。

スナフキンとムーミンたちが再会を果たし、ムーミン谷へと戻ることになったとき、子どもたちの何人かは役者としてエンマの劇場に残りました。役者に向いていない子たちは独りぼっちで寂しい日々を送っていたフィリフヨンカの養子になったのです。

子どもたちがスナフキンに贈ったプレゼント

森の子どもたちがスナフキンに感謝の気持ちとして送ったのは、「なんともいえない色のしわくちゃなもの」()。フィリフヨンカの古ぼうしにみんなで刺繍をしてたばこ入れをこしらえ、日曜日に吸うラズベリーの葉っぱを詰めた、立派ではないかもしれないけれど、心のこもった贈り物でした。スナフキンはひとりひとりと握手をしてお礼を伝えました。

この時期、父の日のプレゼントをお探しの方も多いのでは? MOOMIN SHOP ONLINEには父の日ギフトに最適なアイテムがたくさん。性別問わず使いやすいシックなデザインで実用性の高いグッズも増えています。ムーミンパパはもちろん、さりげなく個性を演出できるスティンキーニョロニョロもおすすめ。お父さんじゃなくて自分用に欲しくなっちゃいそうです。

文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara