ムーミンの日の集いと、「おさびし山」の誇り高き鷲

今週末の8/11(土)は「山の日」ですね。こんにちは、森番だけにやはり山好きな森番です。内閣府ホームページによると、「山の日」とは「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日と、国民の祝日に関する法律にて定められているとのこと。そんな「山の日」が施行されたのは2016年と、「海の日」が1996年よりあることを考えると、比較的最近のことです。そしてひとえに山に親しむといっても、ピクニック、ハイキング、登山、植物採集、バードウォッチングなど、実に色んな楽しみ方がありますね。わざわざ野外に出なくとも、山ほど娯楽のある現代社会ではありますが、それでも山の中で太陽の光をいっぱいに浴びながら楽しいことをするのは、とても気持ちのいいことです。

ところで『ムーミン谷の彗星』(講談社/下村隆一訳)には、ムーミン谷の北東に位置する山「おさびし山」が登場することを、皆さんご存知でしたでしょうか? 小説の冒頭には、まるで宝島の古地図のような「ムーミン谷の地図」が載っていますので、そちらの方でも是非、確認してみてくださいね。
彗星が地球へ落ちてくるということで、大騒ぎになるムーミン谷。こちらは以前のブログでもご紹介していますが、ムーミンとスニフはそんな星の正体を見定めるべく、おさびし山の天文台へと向かいます。旅の途中、スナフキンとも出会い、おさびし山を目指すムーミン一行。

「いちばん高い峰をえらんで、頂上をめざしてゆっくりのぼりはじめました。天文台をつくるのなら、だれでも、できるだけ星のちかくにするでしょうからね。」

おさびし山に天文台があるのは、そういう理由だったのですね。険しい峰々が聳え立つ「おさびし山」は、長閑なムーミン谷とはまるで別世界のようです。

「おさびし山は、おごそかにそびえて、ふかいねむりにおちていました。峰々は、谷間の上でにらみあい、谷には、こおりつくようにつめたいきりが、たちこめていました。(中略) わしやたかが、この山腹に巣をつくっているのでした。」

その後、天文台の学者たちが投げ捨てた大量のタバコの吸い殻(ポイ捨て禁止!)によって、その一番高い峰こそが天文台のある場所だと知ったムーミンたち。体に命綱を巻きつけながら、くねくねした細い山道を登っていくのでした。するとそこへ一羽の鷲が、大きな翼を広げて飛んできます。

「『ものすごく、でっかい鳥だなあ。 こんな高いとこに、ひとりぼっちでいるなんて、とってもさびしいだろうなあ。』
と、スニフがいいました。
『どこかに、およめさんがいるさ。子どももうんといるかもしれんぞ。』
と、スナフキンはいいました。」

冗談を言うのもつかの間、次の瞬間、怒った様子の鷹はものすごい羽音を立ててムーミンたちに襲いかかります。山の小さな割れ目で、息を殺しながら、ぴったりと体を寄せ合うムーミンたち。

「わしがおそってきました。まるで、あらしみたいです。(中略) その、こわかったこと。」しかし上手くいかないと分かった鷲は、しばらくするとまた山奥へと去っていくのでした。

「『(前略) わしは、とってもほこり高い鳥だからね。(後略)』
と、スナフキンが説明しました。」

こうして何とかピンチを乗り切ったムーミン一行。いよいよ間近に迫った「おさびし山」頂上の天文台へと再出発するのです。

「スナフキンは、わしがのこしていった羽を一本ひろって、それを帽子にさしこんでからいいました。
『さあ、いこうぜ。』」

今週は「山の日」ということで、ムーミン谷の「おさびし山」についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか? スナフキンが鷲の羽を帽子に差すシーンは、何とも象徴的な場面であり、まるで「山の日」の理念を体現したかのようなエピソードでもありましたね。もしかするとスナフキンは、おさびし山の誇り高き鷹と、孤独を愛する自分を、心のどこかで重ね合わせていたのかもしれません。。。そう考えると、最後に引用したスニフ&スナフキンの会話の解釈も、ガラリと変わるかもしれません。。。なんだか女性スナフキンファンたちの、悲鳴が聞こえてきそう!?(キャー) それでは今週はこの辺で、また来週お会いしましょうっ☆

最後に、8/9(木)に開催された「ムーミンの日」のイベントについての報告です!
新金庫番、お願いいたしますっ!!

は~い、新金庫番です。いってきましたムーミンの日の集い!そんな、みんなの大好きなスナフキンの台詞をたっぷり楽しめる朗読と演奏もありましたし、ウェブニューズなどでも流れた、驚きの発表もありましたね!今週から3週間にわたって、東京 練馬文化センターで8月9日に行われた「2018 ムーミンの日の集い」の様子をみなさんにお伝えして参ります。プチレポート、楽しみにしていてください!

ではまず今週は、やっぱりこちらの写真から。右端、腕組みしたのミイの男らしいこと!テーマパークの開業日発表のために、来春からパークで活躍する、ムーミン谷の仲間たちが遊びにきてくれました。


なんとミイはフィンランド語と日本語を操りました。それにしても、お転婆には違いありませんでしたね。登場するときも、客席の花道を一人で、フィンランド語でプンプン怒りながら降りてきて、司会のお姉さんを困らせていましたよ。

ムーミンのテーマパーク「ムーミンバレー」のオープンが2019年3月16日(土)に決定したことは、冒頭に流された、作者トーベの姪でムーミン・キャラクターズ社の代表であるソフィア・ヤンソンさんからのビデオメッセージで告げられました。2019年3月16日の日本でのテーマパークの開業は、ソフィアさんも誇らしく、心待ちにしているとのこと。夏休みらしい、焼けた肌とボートネックのボーダーシャツが印象的でした。相変わらず素敵ですねえ。テーマパーク開業のときも来日してくれるのかしら。

 

テーマパークの実際の建物や遊具、ショップやそのコンセプトなどについて詳しい発表もありました。テーマパークを作るための会社を創業して5年、ついにオープン日を発表したと、発表なさっていたスタッフの方も感慨深かげでした。

そのあとは、会場から抽選で選ばれたラッキーな5人の方とムーミン一家とのフォトセッション。

サプライズだったので、みなさんびっくりしながらも、どなたも嫌がらずにステージで一家と写真を撮っていました。そりゃ、そうだなあ。
(なんと一人対ムーミン一家4名での撮影!これは羨ましい~!! by森番)

とびきりの笑顔。でも、この日の会場のお客様は、みなさんがこんな笑顔だったかもしれません。もちろん、スタッフもね。

そのほか、2019年4月から2年間、日本中を巡回するムーミン展の極秘画像や、イギリスやフィンランドでの放送が決まっている新作テレビアニメの極秘映像も流されたのですが、これらは、『2018 ムーミンの日の集い』以外ではご覧いただけない、ということで、画像をお見せすることができません。日フィン修好100周年記念のムーミン展のお話して良い情報をチラリズムしますと、タンペレのムーミン美術館から貸し出された作品にも日本初公開が数多くあるそうなのですが、なんと来日したトーベに関わるものや、家族が保存していたスケッチなどの日本未公開作品もたくさんやってくるとのこと。総計およそ500点!だそうです。巡回展の情報は、これから少しずつ、こちらの出来たばかりのサイトで公開されていくそうです。アニメについての情報は、こちらのムーミンニュースでも、一部ご覧いただくことができますよ。

では、来週は、どきどきの謎解きと朗読についてご報告しますね!!また来週まで、アディオ~ス!!