もっと! ムーミンカフェ フローラルバレーを楽しむヒント【ムーミンクイズ】

表参道に誕生したムーミンカフェ フローラルバレーブログ「ムーミン春夏秋冬」特別編として前回は「ムーミンカフェ フローラルバレー訪問記」をお届けしました。今回はより深く、ムーミンファンならではの注目ポイントを「ムーミンクイズ」形式でピックアップしていきたいと思います。

 

モチーフになった原作は?

ムーミンカフェ フローラルバレーのコンセプトは「ムーミンママの大好きな花々に囲まれた楽しい空間で、美味しいお食事と心あたたまるひとときをお届けする」。
壁にはトーベ・ヤンソンのモノクロ原画をアレンジした絵が飾られ、メニューや限定グッズには特別にデザインされたビジュアルが使われています。
ファンにとってはおなじみ、でも新鮮な印象を受けるこれらの絵、どの本からの引用でしょうか?

ヒントはトフスランとビフスラン、飛行おに……そう、小説『たのしいムーミン一家』です。

入って右側の壁でぱっと目を引く、横長の大きな絵。ジャングルになったムーミンやしきで遊ぶムーミンたち、月でたそがれる飛行おに、まったく別々のシーンを4つ、つなぎ合わせています。

 

額装された挿絵をストーリー順に並べると?

奥の壁には、ひとつひとつ異なる額縁に入った名場面が飾られています。絵に合せて額縁を選び、時間がたって紙が黄ばんだような演出をほどこしたとのこと。

写真だと見づらいかもしれませんが、ストーリーに沿って頭のなかで並べ替えてみてください。

右下から数えて1点め、冬眠から目覚めたムーミントロールスナフキンスニフが山で黒いシルクハットを見つけたところから物語が始まります。
次は右から6点め(左から2点め)、ムーミンパパがそのシルクハットをかぶってみたところ。5点めは水やりをしているムーミンパパとハンモックのひもが切れて憤慨しているじゃこうねずみ
その後、みんなで島に出かけ、7点め(いちばん左)のムーミンママはのんびりお昼寝を楽しんでいます。4点め(真ん中)は帰宅したムーミンママがまたしてもお昼寝をしていたら、シルクハットの魔法で家中が植物で覆われ、びっくりして起き上がったところ。この、ジャングルみたいになったムーミンやしきのエピソードがカフェのあちこちで使われています。
3点め、平穏が戻ったかと思ったら、大きな旅行かばんを持った小さなふたり組トフスランとビフスランがやってきて、またもや大騒動が。この絵ではスナフキンが旅立ってしまい、落ち込むムーミントロールをふたりが慰めています。

最後は2点め(右上)。飛行おにが魔法で願いをかなえてくれることになったとき、スノークのおじょうさんが望んだのは……。数ある名場面のなかからこの絵をチョイス、こんな素敵な額に入れて飾る、というセンスに思わず笑ってしまいました。顛末をご存知ない方は原作をお読みくださいね。

また、緑のソファーやテーブルなど店内のインテリアは、洗練された北欧テイストというよりもムーミンらしさを大切にしたんだそうです。挿絵やコミックスの絵をよく見ると、案外、クラシカルなものが多いことに気づきます。
たとえば、小説『ムーミン谷の十一月』の居間はこんな感じ。

この絵を思い出しながら、テーブルの脚や食器などにも注目してみてください。

 

看板に使われているのは?

お店の顔ともいえる看板に登場しているのは主人公のムーミントロール。これはいったい何をしているところ?

さきほどもご紹介しましたが、ムーミンやしきが植物に覆われてしまう場面で、ジャングルごっこを楽しむムーミンたち。ムーミントロールはターザンになりきって、ツタをのぼり、葉っぱの絡まったシャンデリアに乗っておたけびを上げています。
スノークのおじょうさんはジェーン、スニフはターザンの息子、スナフキンはチンパンジー(!)

 

このキャラクターは誰?

挿絵の下方、壁の絵の左側にいるこのキャラクター、誰だか即答できた方はムーミン上級者!

こちらはムーミンではなく、オレンジの皮でこしらえた歯をつけて怪物になりきるスノークなんです。
妹のスノークのおじょうさんの前髪のようなトレードマークがないので、裁判のときは裁判官のカツラを着用。アニメ作品ではカツラや眼鏡をかけた姿で表現する工夫がなされていますが、挿絵ではムーミン族と区別がつかないことも。ここでは上にターザン役のムーミントロールがいて、文章でも説明があるため、確実に見分けられます。スノークのおじょうさんの目が大きくなってしまう場面で、しかめっ面をしているのもおそらくスノークです。

 

ムーミンパパ? ムーミンママ?

では、カフェオリジナルのビジュアルもじっくり見てみましょう。ピンクの花とグリーンの植物が2つの絵を自然に結びつけています。

ムーミントロールとスニフはターザンごっこの絵、もうひとつは物語後半のパーティーのシーンです。右側はヘムレンさんで、真ん中は前髪があるようなのでスノークのおじょうさんでしょうか。左側のスプーンらしきものを手にしているのはムーミンパパなのかムーミンママなのか、判断することができません。

原画と店内左壁の絵にはもうひとり、フォークを持ったキャラクターがいますね。

 

トフスランとビフスランを探して

『たのしいムーミン一家』にはニョロニョロモランなど、個性的ななかまたちが登場しますが、カフェでフィーチャーされているのはトフスランとビフスラン。トーベが自身と最初の女性の恋人ヴィヴィカをモデルに描いたキャラクターです(詳しくはこちらの記事をどうぞ)。ふたりは「ルビーの王さま」と呼ばれる貴重な宝物を大切に隠し持っていました。

「ルビーの王さま」をモチーフにした鮮やかなスイーツがアフタヌーンティーの中段でひときわ輝く真っ赤なフラワーゼリー。そしてトフスランとビフスランをイメージしたころんとかわいらしいふたつの丸いもの、これはなんとミニミニドッグ! 

壁のあちこちにいるふたりの姿も探しつつ、召し上がってくださいね。

 

トイレに飾られた絵の秘密?

フローラルバレーの店名のとおり、プリザーブドフラワーなどのアレンジメントが華やかに飾られた店内。トイレまでかわいい癒しの空間です。
さりげなく置かれたムーミンママの絵。あれ、これはどんなお話でしたっけ?

実はこれだけは出典が別の小説で、『ムーミン谷の冬』の終盤、ムーミンママがムーミントロールに風邪薬をこしらえているところ。カフェのコンセプトは「ムーミンママのおもてなし」ですが、ひとりでこんな豪華な献立を作ろうとしたら、こういう難しい顔になっちゃうかも(笑)

お料理だけでなく、隅々にまでムーミンのエッセンスが詰まったお店。ぜひご自身の目と舌で体験してみてくださいね。ご予約と詳細はこちらからどうぞ。

文と写真/萩原まみ(textphoto by Mami Hagiwara