【T】Taikurin seikkailupaikka(飛行おにのジップラインアドベンチャー)

ムーミンバレーパークのちょっとディープな情報を、AからZまでのキーワードにして、
アルファベット順にご紹介していく「ムーミンバレーパークのA to Z」

【T】「Taikurin seikkailupaikka」(タイクリン セイッカイルパイッカ)。

呪文のような言葉ですが、日本語では、「飛行おにのジップラインアドベンチャー」というアトラクション名が付いている場所です。正確なフィンランド語としては、「飛行おにのアドベンチャープレイス」というような意味合いになります。

単語を分解していくと、「飛行おに」は、Taikuri(タイクリ)。「飛行おにの」で、Taikurin(タイクリン)。Seikkailupaikkaがアドベンチャープレイス(冒険の場所)です。

パークに向かう途中に対岸から見えてくる北欧の田舎にあるような伝統的な赤い壁の小屋、これがジップラインの受付小屋です。北欧らしさを演出しながらも、飛行おにのマントの色もイメージしています。

ムーミンの物語の初期の頃の作品は、自然災害が起きたり、ときには、ファンタジー要素がアクセントとして入ることがあります。
1作目の『小さなトロールと大きな洪水』では、レモネードの川とか、すべてお菓子でできた場所に迷い込んだこともありましたね。

今回の主役の「飛行おに」が登場する原作『楽しいムーミン一家』も、飛行おにの魔法の力によって不思議なことがたくさん起こります。
飛行おにのシルクハットに何かを入れると、姿かたちが変わってしまう。(この帽子によって、ムーミンたちは雲に乗って遊ぶことになりました)

自分の姿をなんにでも変えることができる。
他の人の願いごとをなんでもかなえてくれる。
連れの黒ひょうに乗って、縦横無尽に飛び回る。それは、大気圏を越えて、宇宙にすらも行けてしまう。
魔法を使うことができない人間の私たちにとっては、いつの時代でも、魔法というものに一種の憧れがあり、魔法を扱うジャンルのファンタジー作品は、世界中で普遍的な人気があります。それは、その作品の中では、非日常の世界観が体験できること、ワクワク、ドキドキといった感情が子どもや大人、年齢に関係なく共感できるからだと思います。
そんな魔法を、使えたような「気」…になれるのが、こちらのアトラクションです。
「空を飛べたら」―小さい頃、多くの人が空想したことがあるのではないでしょうか。
飛行機が誕生し、技術的には可能となりましたが、ほうきのような何かに乗ったり、自身の身体を浮かせて空を飛ぶことなどは、技術というよりは、飛行おにのように、人知を超えた別の力が必要となります。

そこで、ハーネスという安全ベルトをつけてジップラインというワイヤーを使って空を飛ぶ、しかも往復400mほどの湖の上を、という非日常体験を、飛行おにが黒ひょうに乗って飛ぶように風を感じながら体験できるのがこちらのアトラクション。

原作さながらに、飛行おにが何百年もの間探している「ルビーの王様」を見つけに行くというコンセプトですので、小屋の中には、飛行おにが集めてきたルビーのトランクや手がかりの地図のようなもの、飛行おにのマントなどもあり、気配を感じることができます。

 

看板のフィンランド語は、間違っている!?

飛行おにを語る上で外せないのは、飛行おにのルビーを隠しもっていたトフスランとビフスランたちの存在。

自分たちにしかわからない言葉を話すというこのふたりですが、日本語では、

んぜん、かんない」(ぜんぜん、わかんない)

というように、頭の文字が前後で入れ替わった表記になりますが、スウェーデン語では語尾に~sla(~スラ)とつきます。(トフスラン・ビフスランの名前で共通しているスラ、は、ここからきているだと推測することができますね)

対して、フィンランド語でトフスラン・ビフスランは、Tiuhti(ティウフティ)とViuhti(ヴィウフティ)という名前なので、~ti(~ティ)と語尾についているのが彼らの言葉の特徴です。パークのサインはフィンランド語なので、ちょっとしたユーモアとして、出発や中間、ゴールの各地点には、フィンランド語の言葉などを入れている箇所もあるんですよ。

~ti というのが2か所、見えますか?

これは、原作からの彼らの言葉をそのまま引用しているのですが、フィンランド語として、おかしいの言葉の使い方なので、実際に、フィンランド人ゲストから、「フィンランドが間違っている」と言われたことがあります。
ムーミン作品を読んだことがあり、トフスランとビフスランがこういう言葉の特徴だとわかっているフィンランド人はそれに気付いて、おもしろがるのですが、読んだことがないフィンランド人は、単純に、ミススペルだと思ってしまったようでした。
確かに、日本人でも、トフスランとビフスランの言葉の特徴を知らないと、「にがおきてるか、かる?」(なにがおきてるか、わかる?)と、書かれても、なにがおきてるか、わからないですよね(笑)

 

環境にあわせたオリジナルのサイン

室内は、オールドスタイルの小屋のトーンに合わせた、操作方法の手順方法のフレーム、そしてルビーや飛行おにがどのようなビジュアルをしているのかわかるアートも、同じく小屋のトーンに合わせてどこかなつかしい映画のポスターのようなデザインにしています。

ジップライン自体は、現在はメンテナンスでお休み中ですが、小屋の中や、デッキの周りなどは見ていただくことができます。きっと飛行おにも、お休みに合わせて相棒の黒ひょうとどこかにルビー探しの旅にでかけてしまっているのでしょうね。

 

ムーミンバレーパーク

 

 

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株式会社ムーミン物語
川崎 亜利沙
(text by Arisa Kawasaki, Moomin Monogatari ltd.)