世界各地で開催中! トーベ・ヤンソンとムーミンの展覧会!【本国サイトのブログから】

この夏は、ムーミンとトーベ・ヤンソンについての展覧会が世界各国で開催されています。
それぞれの展覧会の概要をご紹介しましょう!

1. ノルウェー

「トーベ・ヤンソン」展 ノルウェー・ドローイング・センター、オスロ
2023年6月22日〜9月3日

「トーベ・ヤンソン」展は、ノルウェーでの初めてのトーベ・ヤンソンの個展です。自画像を中心に、ドローイングと絵画作品が展示されています。
この展覧会は、トーベのムーミンのイラストレーション以外の作品にスポットを当てたものです。家族の肖像、旅のスケッチ、イラストレーション、依頼された仕事、イマジネーション豊かな落書きなども展示されています。中心となるのは自画像で、スタイルとフォルム両方において、トーベが多彩な表現方法を持っていたことを示しています。

家族と子ども時代の環境は、トーベの作品にとって重要で、それはこの展覧会にもよく表れています。両親が共に芸術家だったトーベは、早いうちからアーティストに、何より画家になりたいと思っていました。
展覧会では、トーベの父、ヴィクトル・"ファッファン"・ヤンソンの作品と、母シグネ・"ハム"・ハンマルステン・ヤンソンのドローイングが展示されています。それらは幼いトーベの肖像で、ヤンソン一家の強い結びつきを表すものです。また、クリエイティブな家族が、互いに影響を与え合った様子も示しています。展示作品は、トーベが家族をどのようにとらえ、モデルとしているかを映し出しています。
何点か展示されている自画像の一番古い1937年の作品には、23歳の画家トーベが描かれています。トーベの画家としてのキャリアの初期、自画像は自身のアートのアイデンティティを探求し、演出する手段でした。最後の1975年の自画像は、油彩による最後の作品群のひとつです。

「トーベ・ヤンソン展」についての詳細はこちらから。

「ワンダラス―神話と現実のはざまで」 リレハンメル美術館、リレハンメル
2023年5月13日~8月27日

「ワンダラス―神話と現実のはざまで」展では、トーベ・ヤンソンがアーティストの一人として紹介されています。この展覧会は、北欧の芸術・文化史の中心的存在である4人の芸術家の自然を描いた風景や、神話上の生きものに焦点を当てるものです。他に、テオドール・キッテルセン(1857-1914)、ヨン・バウエル(1882-1918)、エルサ・ベスコフ(1874-1953)が紹介されています。

エルサ・ベスコフ『もりのこびとたち』1910年、アクリル、紙

例えば、絵本『ムーミン谷へのふしぎな旅』のイメージや『彫刻家の娘』でのバウエルへの言及など、この二人からインスピレーションを受けているトーベの作品を、彼らの作品と並べて見ることは価値のあることです。最初の絵本『それからどうなるの?』についてのこちらのビデオでは、この絵本に影響を与えたエルサ・ベスコフのイラストを見ることができますよ。

「ワンダラス」展は、神秘主義や自然の中のファンタジーに対するアーティストの見方を探るものです。伝説や神話、現実が超自然的で、不思議な出来事へと変化する物語などに焦点が当てられています。

ヨン・バウエル『Gutten som aldri var redd』1912年 スウェーデン国立美術館 
写真/セシリア・ハイザー 

この展覧会では、キッテルセン、バウエル、ベスコフ、ヤンソンの代表作と、イングリッド・トルヴンド、マーレット・アンヌ・サラ、アストリッド・ノンダルの現代美術が比較されています。

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2. スウェーデン

「アット・アームズ・レングス−−北欧美術の100年」 アルティペラグ、ストックホルム
2023年3月11日~10月1日

ストックホルムのアルティペラグで開催される展覧会「アット・アームズ・レングス −− 北欧美術の100年」に、トーベ・ヤンソンの油絵3点が出展されます。このグループ展では、ノルウェーのAKO Kunststiftelseが所有・管理するタンゲン・コレクションの作品が展示されます。
約5000点のコレクションの中から、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド出身の40人のアーティストによる150点の作品が、この展覧会のために選ばれました。展覧会のキュレーターの狙いは、北欧のアーティストに共通するメンタリティを提示することです。北欧のアーティストの多くは、自国ではなくヨーロッパの大都市で活動し、影響を受け、社会的に適応してきたのです。
出展されるトーベの作品は、《Hotellrummet》1938年、《Kaféinteriör》1939年、1945年の静物画の3点です。

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3. フィンランド

「ムーミン・ゲームの数十年」展 フィンランドゲーム博物館・ヴァプリーッキ、タンペレ
2023年4月19日~10月1日

「ムーミン・ゲームの数十年」展では、1950年代に発表されたボードゲームから現代のスマホゲームまで、この数十年間にわたって作られてきた、ムーミンをテーマにしたゲームを紹介しています。

訪れた人は、展示されているムーミン・ゲームの中に、子どもの頃に遊んだことを思い出すかもしれませんね。あまり知られていないレアなゲームや、当時は正式に承認されていなかった海賊版ゲームも展示されていますよ。

現在発売中、あるいは近日発売予定の新しいデジタルゲームも展示されています。2024年の初めに発売が予定されている「スナフキン−ムーミン谷のメロディー」も見られます。
多くは、原作の本やコミックス、アニメーションをベースにしていますが、ゲームの製作者自身が物語やプロットを考案したものもいくつかあります。
この展覧会は、幅広い年齢層のムーミンファンを対象にしています。

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「ムーミン氷の洞窟」 スポーツ・アンド・スパ・ホテル・ヴェシレッピス、レッパヴィルタ
2023年4月~9月3日

暑い夏を涼しく過ごせる場所を探していませんか? フィンランドのレッパヴィルタにあるスポーツ・アンド・スパ・ホテル・ヴェシレッピスの「ムーミン氷の洞窟」では、お気に入りのキャラクターと一緒に、ひんやりとした空間を楽しむことができますよ!

ここではトーベ・ヤンソンのコミックスを題材にした、驚くべき氷の彫刻の世界が体験できます。このヴェシレッピスの地下に氷のおとぎの世界をつくるため、世界的に活躍する氷の彫刻のパイオニアたちが集結しました。遊び心いっぱいの光と音が体験できます。
2023年の「ムーミン氷の洞窟」は、コミックス「ジャングルになったムーミン谷」(1956年)のシーンが中心となっています。人食い植物や、野生動物たちとムーミンのおなじみのキャラクターが登場し、ジャングルをテーマにしたワンダーランドを探検することができるのです。

氷の洞窟はスキー場の地下30メートルにあります。洞窟内の気温は年間を通してマイナス3度に保たれています。
この展覧会は9月3日まで、毎日午前10時から午後8時まで開催中。夏の間は、入場券に防寒用のオーバーオールのレンタルも含まれているので、氷の世界を安心して楽しむことができますよ。

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4. 日本

2023年5月、ムーミンの常設展がオープン! タオル美術館、愛媛県今治市

ムーミンのさまざまなキャラクターが描かれた40メートルものやわらかなタオルを想像してみてください。愛媛県今治市にあるタオル美術館は、今治のタオル文化に焦点を当てたものです。
今年5月末、タオル美術館のムーミンをテーマにした常設展がリニューアルしました。ムーミン谷に登場する40種類のキャラクターや、ムーミン絵本に登場する名場面の絵をタオルで表現しています。

5階建てのミュージアムの1フロアの壁は、展示されているタオルに使われた、200色に染められた1800の糸巻きで覆われていて、実際にタオルを織るまでのタオルの製造過程を学ぶことができます。

敷地内には33000平方メートルの庭もあり、一年を通して様々な花が咲き乱れます。

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「ムーミン谷のしあわせなくらしのかたち展」 ムーミンバレーパーク・コケムス、埼玉県飯能市
2022年11月19日(土)~2023年11月下旬予定

ムーミンバレーパークの常設展示施設「コケムス」には、企画展示室もあります。

フィンランド語で「体験」を意味する3階建ての展示施設「コケムス」は、トーベ・ヤンソンの人生とムーミンを織り合わせた施設です。日本で初めてのムーミンの常設展示スペースや、小説や絵本の世界を紹介するコーナーなど、さまざまな展示が楽しめますよ。また8メートルを超えるムーミン谷の巨大ジオラマもあり、絵本の世界に迷い込んだようなフォトスポットがたくさん。

コケムスの入り口にあるウェルカム・アートワークは、高さ4メートルを超えるトーベのフレスコ画の複製です。1947年にヘルシンキの市庁舎のレストランを飾るために依頼されたこのフレスコ画は、「田舎のパーティー」と題され、現在はヘルシンキ美術館(HAM)のパーマネント・コレクションとなっています。

現在開催中の企画展は「ムーミン谷のしあわせなくらしのかたち展」(2023年11月下旬終了予定)。大切なモノに囲まれること、美味しいものをたべること、家族との団らん、ムーミン一家やその仲間たちの暮らしには、心地よく豊かに暮らすヒントがちりばめられています。それぞれの登場人物の想いやこだわりなどを探ります。

開館日:常設展は年中無休
ムーミンバレーパークの「コケムス」についてはこちらから。

世界各地の素敵な展覧会、近くへ旅することがあったらぜひ足を運んでみてくださいね! 

翻訳/内山さつき