ムーミンマグをデザインして30年  トーベ・スロットさんインタビュー【本国サイトのブログから】

30年にわたってトーベ・ヤンソンの原画をムーミンマグにデザインしてきた、アラビアのイラストレーター、トーベ・スロットさんが引退されることになりました。長年どのようにムーミンと過ごしてきたのか、ムーミンマグの制作過程はどんなものなのか、イラストを選び、マグとして再現することの難しさとは何なのか、トーベ・スロットさんにお聞きしました。

スロットさんは、1990年代初めからムーミンマグをはじめとするムーミン・バイ・アラビアのプロダクトを手がけ、これまで100点以上のムーミンマグをデザインしてきました。トーベ・ヤンソンの原画からインスピレーションを受け、それをマグカップやプレート、ボウルなどの食器にデザインしています。最新作は、この冬のシーズンマグ「ウィンター・ワンダーズ」です。

小さい頃からムーミンのファン

ムーミンはいつも、スロットさんの心の中にありました。
「学校では、何を描きたいか自分で決めることができたので、私はいつもムーミントロールを描いていました。大好きなモチーフだったんです」

「皆が毎日少しでもムーミンの哲学を楽しめるようになれば」

30年以上前にマグカップの制作を始めたとき、この愛らしいキャラクターを描くのが自分のライフワークになるとは思ってもみなかった、とスロットさんは語ります。マグの人気は初めはゆっくりと高まっていきましたが、本格的なムーミンブームが始まるまでに長い時間はかかりませんでした。

お気に入りのマグは「ミーサ」

30年経った今でも、トーベ・ヤンソンの本やコミックスは、スロットさんにインスピレーションを与え続けています。実際彼女のアトリエは、過去30年間のムーミングッズやイラストがたくさん飾られ、まるでムーミンワールドのミニチュアのよう。

「一番楽しかったのはミーサのマグです。私はずっとミーサが好きで、メインキャラクターの一人だと思っています。誰もが同じように考えるとは思いませんが、トーベ・ヤンソンにとっても彼女は特別だったのだと思いますよ。トーベが描いた、さまざまなムーミンのキャラクターが集合している古いイラストには、いつもミーサがいるのですから」
スロットさんはすべてのムーミンマグを机で描いています。たいていは製品化される2、3年前に完成します。完成したマグを見るのは、スロットさんにとっていつも特別な瞬間です。
「いつも感動します。釉薬をかけられると、イラストの印象はまた大きく違って見えるんです。色も初めに考えていたものとは少し違って見えることがあります。まだ変更できる時間があるときもあれば、そうでないときもあります」

新しいチームがデザインを引き継ぐ

ムーミンマグは、たいてい発売される何年か前にデザインされるので、スロットさんが引退しても、ムーミンファンはまだ彼女のデザインを楽しむことができますよ。ムーミン・バイ・アラビアの新しいデザインチームは、デザイナーのアンニッカ・ティックルとイラストレーターのパルヴァティ・ピッライです。

「ムーミンはフィンランドの国の宝ものとも言えるもの。ムーミンの仕事ができることをとても誇りに思っています」とティックルはコメントしています。

トーベ・スロットさんのアトリエを訪ねて

トーベ・スロットさんのアトリエを訪ねる動画はこちらから。どんなふうに長年ムーミンと共に過ごしてきたのかや、ムーミンマグの歴史、トーベ・ヤンソンと会ったときのエピソードなども聞くことができますよ。

2月10日、スロットさんがデザインした「ARABIA ムーミンバレーパークオリジナルマグ」の第2弾が発売されます!
詳しくはこちらから↓
https://metsa-hanno.com/news/information/24595

翻訳/内山さつき