きれいな前髪のスノークのおじょうさん

ニョロニョロのせいで自慢の前髪が、焦げてなくなってしまっているかわいそうなスノークのおじょうさん
「たのしいムーミン一家」

あかりをつけましょ、ぼんぼりに~♪ お花をあげましょ、桃の花~♪
皆さま、明日は雛祭りですね。近年は少子化や、生活スタイルの変化、西洋から入ってきた年中行事の台頭などで、昔ほどは目にする機会も減ってしまったお雛さま。それでも真っ赤な毛氈の上にちょこんと座ったお雛様の姿には、他にない美しさがありますね。見ているだけで華やかですし、春がもうすぐそこまで来ている、そんな明るい気持ちにもなれます。ただネットで話題になっていたのですが、お家でネコちゃんを飼われている方にとって、お雛様はにゃんとも要注意のようですね!!実際にネコちゃんのいたずらによって、髪の毛をもみくしゃにされたお雛様の写真が投稿されていましたが、もはや怨念に近いものすら感じました。。。

ところで皆さまはそんなお雛様の美しさって、どんなところにあるとお考えですか?
美しい十二単、化粧、切れ長の目、品のいい顔立ち、所作など、一言に美しさとは言っても、様々な要素がありますよね。森番が子供の頃から感じていたのは、お雛様の髪って美しいな、ということです。艶っぽく、櫛で梳かした線が見えるほどに真っ直ぐで、漆黒の髪は、なんとも艶やかで色っぽいです。昔から「髪は女の命」とも言われます。いつの時代も女性らしさの象徴であり、美しさの象徴でもある髪の毛。髪は万国共通、女性たちにとって特別なもののようです。

「たのしいムーミン一家」(講談社/ 山室 静訳)には、まさに女性にとって髪の毛がいかに大切なものであるかが分かる、そんなスノークのおじょうさんと前髪のエピソードがありますね。ニョロニョロの島で野宿をしていたムーミン一家が、嵐の夜に思いもよらずニョロニョロの襲撃に遭い、そのせいでスノークのおじょうさんの「ふさふさしたきれいな前髪」がすっかり燃えてしまうのです。どうやってスノークのおじょうさんを慰めたら良いものか、困ってしまったムーミンはついこう言います。

「ねえ、とってもへんなことだけど、ぼく、だんだん髪の毛のないむすめさんのほうが、すきになってきちゃったんだよ」
しかしすぐに事の真相に気がついたスノークのおじょうさんは、びっくり仰天してしまいます。ためしに髪を触ってみたら、手にくっついてきたのはわずかな燃え残りのふさ毛だけだったからです。ムーミンはそんな動揺するスノークのおじょうさんを見かねて、こう言います。

「あんたに、とてもにあうよ。―――ほんとだよ。ないちゃだめ。」
と、ムーミントロールは、いっしょうけんめいなぐさめました。
 しかし、スノークのおじょうさんは、すなの上に身をなげて、はげしくなきじゃくりました。―――だいじなだいじな、頭のてっぺんのかざりをなくしたことを。

スノークのおじょうさん、可哀想ですね。日本人女性にも、前髪にこだわりがある女性は多いとか。前髪の作り方が決まらないと一日が決まらない!というような、前髪が一日のONとOFFの切り替えになっている人も多いと聞きます。それが焼け焦げたなんていったら、それは大変なことですよね。一方のヘムレンさんは次のように、スノークのおじょうさんを慰めます。

ヘムレンさんはいいました。
「ねえ、おきき。わたしは生まれたときからはげ頭だったけど、しょうじきにいって、それで、とてもぐあいがよくいったよ。」

ヘムレンさん、優しい気持ちは十分に伝わってくるのですが正直、こういう場面においてはあまり慰めにはならない言葉ですね(辛口)。最初は有ったものが無くなるのと、最初から無かったものが無いのとでは、比較すること自体が難しいですね。でも堅物のヘムレンさんなりの思いやりが感じられる、そんな場面です。

実は森番は子供の頃、このシーンをアニメで繰り返し何度も見ては、本当に可愛そうだなと思っておりました。なぜその可愛そうなシーンばかりを繰り返し見ていたのか、子供ならではの残酷さのようにも思うのですが、それだけこのシーンが子供の森番にとって、衝撃的だったということなのでしょう。思ったのですが、よくマンガなどに出てくるお爺さん博士の髪の毛が実験中に焦げたりするならまだしも、ムーミン物語のしかもヒロインであるスノークのおじょうさんの髪の毛が焼け焦げるなんて、よくよく考えてみたらトーベ・ヤンソンさんもかなり酷なことをしています!(*決してお爺さん博士の髪の毛なら、燃えてもいいと言いたいわけではありませんヨ!)でもそれだけニョロニョロというキャラクターが、私たちの価値観や生き方とはほど遠いところにある生き物だということを、トーベ・ヤンソンは強調したかったのだとも考えられます。このニョロニョロという生物については、またその内、皆さまと一緒に考察していければと思います。

今週はお雛さまに因んで、ムーミン谷のお姫様、スノークのおじょうさんとその前髪のエピソードをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?森番は子供の頃、男の子の友人が女の子の髪の毛を思いっきり引っ張って数本抜いてしまい、男性教師にもの凄く叱られていたのをふと思い出しました。当時は森番もその意味がよく分かっていなかったのですが、大人になった今ならその先生の気持ちがよく分かりますね。それだけ女性の髪に対してそういう行為をすることは、失礼に値することなのだと男子生徒に教えたかったのでしょう。そして実際に髪を引っ張られると、痛いですしね!それでもいつも思うのですが、ポニーテールという髪型ってこう言っちゃなんですが、まるで「引っ張って♡」とでもいいたげな形をしていますよね!付いている位置にしても、握りやすそうな束感にしても、これは引っ張られるためにあるのでは!とつい思いたくなってしまうのは変態、森番だけでしょうか。それではこれ以上、森番の変態さが暴かれない内に今週はこの辺でお別れです。また来週、お会いしましょう~!

うわーん、新金庫番も、実は女の子の髪の毛についての残虐なエピソードが。。小学校に上がったばかりのこと、近所のお友達と人形遊びをしていたのですが、お人形のお布団を作ってあげようという話になって、それぞれの髪の毛先をジョキジョキ切ってハンカチに来るんで羽毛布団のようにして人形を寝かせてあげたのです。(あまりにおてんば娘な、新金庫番の発想に唖然 by 森番)作業を仕上げたときは、二人ともやったね!といった雰囲気だったのに、翌日になって、新金庫番の母がその女の子のお母様に呼び出されて、えらい怒られたそうです。「女の子の髪の毛を切るなんて!!」って。一緒に切ったのですが、やっぱり言いだしっぺが悪いですよねえ。ごめんなさい、本当に。
ちなみに、新金庫番のおうちでも、お雛様をしまうときは、髪の毛をきちんと整えて、和紙でお顔から後ろまでくるんでとめて、髪の毛が乱れないようにして仕舞います。やっぱりお雛様の髪の毛が乱れるなんて、あってはならないことですから。ほんとうに、髪は女の命ですね!それだけに、大事な前髪がなくなって傷ついたスノークのおじょうさんを、最低限のことばで紳士的になぐさめたこのときのムーミンには、まったく脱帽です。彼は、本物の紳士です。

さて、今週はそんな女の子にぴったりな商品やイベントもご紹介しちゃいましょう~。
寄り添うムーミンとスノークのおじょうさんが目印の「#ムーミントレジャーキャンペーン」が始まりました。ご自身のムーミンとの思い出やグッズへの思いを教えていただいて、それをまたほかの読者の皆様にもご紹介させていただくという企画です。投稿者で運の良い方は、かわいいリトルミイと葉っぱがデザインされたネックレスがもらえます。友達にも言ってないエピソードだけど、ちょっと語ってみようかな、なんてムーミンファンにはぴったりかもですね。

また、こちらの店頭ディスプレイでも同じムーミンとおじょうさんのカップルがロゴになっていますが、これってば、かわいいフィギュアも並んで、まるでお雛様の段飾りみたい??全国でおよそ170店舗もあるスタジオクリップのショップでは、オリジナルのムーミングッズがいろいろ揃って引き続き大人気です!

では、飾ったお雛様は、早めに仕舞いましょうね!そうしないと、ムーミンみたいな素敵な人と出会い損ねますよん。(それは困ります by 森番)また来週まで。ごきげんよう!