「どんな小さなクニットだって、おこる権利はあるのよ」ちびのミイのことをもっと知ってみよう!


ちびのミイは、ムーミン一家の養女で、体は小さいけれど鋭い一面を持っている登場人物です。大胆で恐れを知らないちびのミイは、ムーミンファンの間でも特に人気のキャラクター。ちびのミイのことをもっと知りたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。

「あたいのねえさんみたいにするのがいいわ。だまらないと、たたきころしちゃうぞ!っていうのよ。そのあとであやまって、キャンディーをやるの」――ちびのミイ『ムーミン谷の夏まつり』より

荒っぽく向こう見ずな行動をするちびのミイですが、一方では頼りになる存在で、あくまでも正直です(ときには容赦ないほど)。彼女はどんな状況にも慣れてしまい、どんなことも受け入れてしまうのです。

ちびのミイが初めて登場するのは、『ムーミンパパの思い出』で、ムーミンパパはこの本で、ミイの家族と知り合います。パパは、息子のムーミントロールと友だちを喜ばせるためにこの回想録を書いたのです。ムーミンパパの冒険に加えて、スニフとスナフキンの父親――うっかりやのロッドユールと自由人のヨクサルのお話も出てきますよ。

スナフキンとちびのミイの家系図

ミイは、ムーミンたちと一緒にムーミンやしきに住んでいます。親戚ではありませんが、養女となり、家族の一員になりました。勇敢で怖いもの知らずで、ムーミンたちの冒険に加わりたがり、ときにはちょっとした事件が起きることを心底楽しんでいるように見えます。

『ムーミンパパの思い出』で、ムーミンパパは、ミイが夏至の頃に生まれたと語っています。ミイにはミムラねえさんとスナフキンを含む少なくとも36人のきょうだいがいます。彼らは、同じママミムラから生まれました。ミイの大おばさん(ママミムラの父方のおばさん)とおばあさんは、『ムーミン谷の仲間たち』(1962年)に登場しています。おばあさんは背が高く、疲れた女性として描かれています。ムーミン一家は、コミックスの『家をたてよう』でミイを養女に迎えたのでした。

「あたい、また眠くなっちゃったわ。ポケットの中が、いつもいちばんよく眠れるの」――ちびのミイ『ムーミン谷の夏まつり』より

ちびのミイは、激しく、気が短い性格ですが、同時にフレンドリーでもあります。ちょっとしたことでいらつくことはありますが、決してわざと意地悪したりはしません。ときどき誰かが感傷的になりすぎたりすると、鋭い観察眼ですぐに我に返らせてくれるのです。

『トーベとの旅:トーベ・ヤンソンの思い出』(2002年)の中で、トルディス・エルヤセーテルは、トーベ・ヤンソンがミイの役割について書いていたことを紹介しています。「彼女はとても現実的で役に立つのです。ムーミン一家がどうしても繊細なので、それに対するものが必要だったのです。もしミイがいなかったら、延々と泣き言が続くことになってしまったでしょう」。

「だれだって、ときにはおこるほうがいいのよ。どんな小さなクニットだって、おこる権利はあるのよ」――ちびのミイ、『ムーミンパパ海へいく』より

ご存知のように、ちびのミイは鮮やかな赤銅色の髪を頭の上で玉ねぎ型に束ね、いつも赤いワンピースを着ています。

散らかっていても、きちんとしていなくても、ミイはまったく構いません。むしろ、その方が人生はずっとエキサイティングなのです。小さいからこそ、ミルク入れの中や、キッチンの引き出しの中のお玉と泡立て器の間に隠れたりすることができるのです。スナフキンのポケットで寝ることだってあるのですからね。

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翻訳/内山さつき