【J】Jansson (パークの中の‛ヤンソン‘)

ムーミンバレーパークのちょっとディープな情報を、AからZまでのキーワードにして、アルファベット順にご紹介していく「ムーミンバレーパークのA to Z」

【J】は、「Jansson」(ヤンソン)

「Jansson(ヤンソン)」といえば、ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンですが、ムーミンバレーパークでは、トーベを中心に、その家族や血縁のいろんなヤンソンさんが登場します。
今回は、パークにまつわるヤンソンさんにゆかりのある場所やエピソードをご紹介します。

 

やっぱり最初はこの人「トーベ・ヤンソン」

展示施設KOKEMUSでは、トーベについて知ることができるタッチポイントをいくつも作っています。
正面入口から展示エリアに歩みを進めると、お出迎えしているのは、トーベとトーベが生み出したムーミン谷の仲間たちの像。
実は、像の背景にある映像もじっくり見ていただきたいポイントです。

映像のテーマは、「ムーミンを生み出したトーベのクリエイティブ」。
これは、トーベとムーミンのつながりを示すビジュアルを中心に、それぞれの世界を交互に映し出しながらトーベのクリエイティビティを感じてもらうものです。
物語のインスピレーションを得た自然や、子ども時代の記憶、創作中のトーベ、それからトーベとムーミンのつながりを示す写真やイラストとともに、トーベが実際に語っていた言葉を中心に構成しています。

トーベの肉声が聴ける「それからどうなるの?」


3階の体感展示、絵本「それからどうなるの?」のエリアで聞こえてくる声の正体は、トーベ本人。
これは、トーベの母国語であるスウェーデン語での読み聞かせを存命中に収録した貴重な音声です。
感情豊かに語っているトーベの優しい声に耳を傾けてみてください。
物語の最後には、トーベから、日本の子どもたちのためだけに送ったメッセージも、紹介しています。

 

トーベの記憶シアター

トーベが長年暮らした夏の島の内装をモデルにしたシアターでは、仕事、愛に生きた86年のトーベの生涯を回想する映像を創りました。
投影スクリーンを窓にしたのは、窓の景色から景色を眺めているかのように、トーべの記憶を辿る演出をしたかったからです。
映像のはじまりは、実際の島の窓からの風景。
戦争中に自分を慰めるために書き始めたおとぎ話、と言っていた「ムーミン」の物語が、まわりの誰かを投影していたり、時には自分自身を投影していたり、仕事に追われていつしか憎むようになったり、パートナーによって救われたり…一言では言い表せない、いろんな感情を抱えながら、トーベが生涯ムーミンと付き合ってきたことが垣間見えてくると思います。

 

ふたりのヤンソン弟たちとのコラボ

2階の常設展「ムーミン谷のギャラリー」内では、ムーミンの小説・コミックス・絵本からなる原作のムーミンの世界を紹介しています。
トーベの二人の弟たちーラルス、ペル・ウーロフともに、コミックス・絵本の原作に携わっており、それぞれ紹介コーナーがあります。

 

華麗なるヤンソン一族族大集合!の企画展


企画展「トーベ・ヤンソンとムーミン展」では、トーベの人生とムーミンが誕生するまで、また、さまざまな「ムーミン」を紹介しており、展示の導入部分には芸術家一家に生まれたトーベとその家族の写真、トーベが描いた家族の肖像画、展示の後半にはトーベの年表を展示しています。

 

パークを語るに欠かせない「ソフィア・ヤンソン」


KOKEMUS1階のトーベの描いた壁画の奥には、ムーミンキャラクターズ社の会長であり、トーベの姪であり、トーベとコミックスを一緒に手がけた弟ラルスが実父にあたる
ソフィアからパークへ訪れたゲストにウェルカム・メッセージをご用意しています。
ソフィアは、日本にパークがオープンすることが決まってからずっと、パークへのアドバイスや打ち合わせを重ねて、一緒にパークを創ってくれた、パークには欠かすことのできないヤンソンさんです。

自己紹介から始まるソフィアのウェルカム映像には、撮影は、水浴び小屋、おさびし山、ムーミン屋敷、コケムス内展示やジオラマ前など、グランドオープン前のパーク内各所でしています。
ソフィアから見たトーベ、トーベが生み出したムーミンに対する思い、日本のムーミンファンに向けたメッセージ、ムーミンバレーパークへの期待とメッセージを語ってもらいました。

こだわったのは、トーベと同じく「ソフィアの母国語であるスウェーデン語」でのインタビューです。
以前ソフィアには、2018年の日本で開催された「ムーミンの日」イベントで、2019年3月16日にパークオープン日が決まった、というメッセージを世界で初めてソフィアを通して発信してもらったことがあります。

こちらのムービーは、多くの人に理解してもらえるよう英語にしたのですが、日本における唯一の「ムーミン」の常設展示施設であるコケムスでは、やはりムーミンの原作であり、トーベやソフィアを含むヤンソン一族の母国語である「スウェーデン語」であるということをリスペクトして、なんの言語の気がかりもなく話してもらいたいと思いました。
もちろん、ソフィアは英語やフィンランド語なども流ちょうで、問題なくコミュニケーションが取れるのですが、ムーミンの物語が生まれた言葉・自分が育ったスウェーデン語で、リラックスして話している映像が、日本語字幕がついてみなさんにもご覧いただけるというのは、実は貴重なものではないかと思います。

 

続いていくヤンソン家のクリエイティブ

ソフィアの息子であるジェームスは、トーベからは姪孫にあたり、ムーミンキャラクターズ社役員でもあります。
わたしたちのムーミンバレーパークとメッツァビレッジのロゴ、それからパークのメインビジュアルは、デザイナーでもあるジェームスが手掛けてくれています。

最初に、右端のパークのロゴが誕生し、そのあとに、中央にあるメインビジュアルが誕生しました。
メインビジュアルは、ロゴであるムーミントロールとリトルミイの周りに、スノークのお嬢さん、スニフ、スナフキン、そしてムーミンママとムーミンパパが、リラックスして集まりを楽しんでいるもので、背景には、宮沢湖や近隣の丘を意識した緑の木が描かれています。
使用したカラーイメージは、パーク内で使われているオリジナルカラーパレットから作成してもらいました。美しく控えめな色合いは、パークの美しくナチュラルな風景と合わせたとのことでした。

トーベが存命の頃から長年トーベと関わり、トーベ亡き後も、トーベが生み出したムーミン作品のアイデンティテイを理解し、それを守っているヤンソン家の血筋が脈々と続いているという幸運と、フィンランドから遠く離れた日本に誕生した「ムーミン」のパークの根幹にあるアイデンティティも同じくトーベに近いヤンソンファミリーによって創られて「ムーミン」の世界観がこれからも続いていくことができるというのも、幸運なことではないでしょうか。
また、それは一方で、「ムーミン」の魅力がボーダーレスに国を越えて、普遍的な証なのかもしれません。

 

 

 

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株式会社ムーミン物語
川崎 亜利沙
(text by Arisa Kawasaki, Moomin Monogatari ltd.)