ムーミンたちはどんな本を読んでるの?【本国サイトのブログから】

ムーミンたちは物語を読むのが大好き。探偵小説、冒険小説、ノンフィクション、そして詩集など、本を持っている姿がよく描かれています。

「ムーミンたちはどんな本を読んでいるの?」

そんな疑問に答えるべく、ムーミンたちの本棚を調査してみました!

ムーミンたちは、ベッドやハンモックの中、旅先でも本や雑誌を読んでいますよ。
トーベとラルスが手がけたムーミン・コミックスの中の1編「おさびし山のご先祖さま」には、ムーミンママが船の「黒サメ号」の中で本棚を見つけ、大喜びするシーンがあります。「やっと本が手にはいった。これでもう平気よ!」と、ママは安心して叫ぶのです。

古典――少ないけれど、素敵な本たち

ムーミン・コミックスに描かれている古典はそれほど多くはありません。でも、読書家のムーミンたちにはこれ以上の本は必要ないのかもしれませんね。

『戦争と平和』
『アンクル・トムの小屋』
『ロビンソン・クルーソー』

『ロビンソン・クルーソー』は、コミックスの「Moomin Family Robinson」(未邦訳)のエピソード全体にインスピレーションを与えています。難破したロビンソン・クルーソーの物語を、ムーミンたちは文字通り読んでいるのです。

ムーミン谷は自己啓発が盛ん?

では、ムーミンたちは他にどんな本を読んでいるのでしょう? その疑問は、ムーミン・コミックスをより深く読み込むと、簡単に解けますよ。
トーベはこの言葉を使っていませんが、ムーミンのコミックに登場する本の多くは、おそらく自己啓発書の類なんです。
いくつかの本は、より良い人間になる方法、より幸せな人生を送る方法、より成功する人生を送る方法について書かれています。たとえば、

『将来性ある実業家になる方法』
『しあわせになる方法』
『孤独の幸せ』
『魅力的な人になるために』
『若さを保つには』
『楽観的になる方法』

ノンフィクション――海にまつわるものと、『ヘムル式簿記』

ムーミン谷の住人たちは、実践的なスキルを学ぶためにもよく本を読んでいますよ。たとえば、石庭の作り方や海について、「ヘムル式簿記」について学ぶためなどです(でもまあ公平に見て、ヘムレンさん以外はその本に熱中しないでしょうね)。

知識の源としても、本はよく用いられます。コミックス「ムーミンパパの灯台守」で、ムーミンパパは自分が執筆に専念するため、ムーミントロールに『航海の手引』という本を持たせて外に送り出すのですが、その本の中で、ムーミントロールは救命具、コンパス、風力計などの「不思議で、荘厳な響きの言葉」を知るのです。

トーベとラルスは、コミックスの中で登場人物の性格や感情、彼らが何をしようとしているのかなどを伝えるために、よく本のタイトルを用いています。
またはその反対に、そのキャラクターがしないようなことを表すためにも使っています。例えば、下のコマでは、ムーミンパパは『血ぬられた手』という本を、『トリプル ヘムル式簿記』という本の中に隠して読んでいますが、『トリプル ヘムル式簿記』なんて、ムーミンパパはいかにも興味がなさそうな本ですよね。

ムーミン・コミックスの中から、ノンフィクションに分類できそうな本をいくつか紹介しましょう。

『痛風について』
『ガーデニング入門』
『わが家の石庭』
『自然公園』
『カードゲームの本』
『法律書』
『わたしの十八番レシピ』
『魔法の鋳造法』
『薬草から毒草まで』
『トリプルヘムル式簿記』
『スプーク先生の育児法』

『スプーク先生の育児』に登場する先生は、いったいどんな子育てをアドバイスしてくれるんでしょうね?

 ムーミンたちは犯罪小説がお好き

コミックスに比較的よく描かれているジャンルは、探偵小説や冒険小説です。

アガサ・クリスティなどの古典はもちろん、以下のような知られざるタイトルもあります。

『恋人よ 殺人だ!』
『帰ってきた血ぬられた手』
『黒い手』
『赤い手』
『血まみれの手』
『赤い目のブロンド女の事件』

ムーミン谷一の名著は『ムーミンパパの思い出』?

すべてのムーミンたちが読んだ本といえば、もちろん『ムーミンパパの思い出』でしょう。この本は、ムーミンパパが風邪を引いたとき、ムーミンママにうながされて書き始められた本です。
この本の中で、読者はムーミンパパの波乱万丈の青春時代や、ムーミントロールの友だちのパパたちについて知ることができるんです。

「ねえ、むじゃきな子どもたち。あなたがたのお父さんは、みんな立派でえらい人に見えるでしょうが、三人のパパたちの経験を書きつづった、この物語を読んでごらんなさい。そしたら(どのパパも、似たりよったりだなあ!)と考えるようになりますよ。少なくとも、パパたちの若いときはね」

『ムーミンパパの思い出』(小野寺百合子/訳 畑中麻紀/翻訳編集 講談社)より

ムーミンパパの自伝を読んだ人は、ムーミン谷の住人たちについて、こんなことを知ることができますよ。

●ムーミンパパは幼少期を孤児院で過ごしたこと
●ムーミンパパとムーミンママとの出会いは、嵐の海からパパがママを救い出したときだったこと
●スナフキンの父親はヨクサルで、実はリトル・ミイと異母兄であること(スナフキンの素敵な家系図はこちらで見られますよ)
●スニフの両親は誰か

本は喜び

ムーミン谷の住人たちにとって、本を読むことは一種の逃避行のようなもの。このイラストでは、本と向き合うミムラねえさんから幸せな空気を感じられますね。

下のシーンは、本を読む時間と静かな環境を確保するのは、いつだって簡単ではないことをよく表しています。

ミムラねえさんが楽しみにしていた読書タイムも、兄妹たちの乱暴な遊びがエスカレートすると、長くは続きません......。やっぱり、静かに「戦争ごっこ」はできないですよね。
また、ムーミンたちがうさんくさい預言者の言うことに振り回される「預言者あらわる」では、ムーミントロールは禁欲的に生きよと説く預言者の言葉を受け、本を含む楽しいことをすべて屋根裏に運ぶはめに……。

自由に思いっきり本が読めるというのは、とても幸せなこと。
読書の秋、ムーミンたちのようにさまざまな本に触れてみるのはいかがですか?

翻訳/内山さつき