『目に見えない子』が教えてくれること
トーベ・ヤンソンの短編小説『目に見えない子』は、思いやりの力を思い出させてくれる重要な作品です。子どもたちは、この短編で他者に共感することについて学び、見ること、そして見られることの大切さを学んでいくのです。トーベ・ヤンソンの姪ソフィア・ヤンソンの朗読を聞き、教育の場で使われている質問集を見ながら、この物語について考えてみましょう。
1962年に出版された、トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の仲間たち』に収録されている、短編小説『見えない子』は、多くの人々に愛されています。姿が見えなくなってしまった孤独な女の子ニンニは、ムーミン一家に伝わる薬に助けられて、自分自身の声と自分の居場所を取り戻すのです。ムーミン一家はニンニをあたたかく迎え入れ、平等に、尊重しながら接します。その思いやりのおかげで、ニンニは自信を取り戻し、少しずつ目に見えるようになっていきます。
ソフィア・ヤンソンの朗読はこちらから↓
以下の質問を参考にしながら、子どもたちと一緒に物語について考えてみませんか?
●幼い子どもたちに
・ニンニはどうして姿が見えなくなってしまったのでしょう?
・ニンニの身体で、最初に見えるようになったのはどの部分ですか?
・この部分が目に見えるようになったのはどうしてでしょうか?
・ムーミン一家は、ニンニが再び見えるようになるために、さまざまなことを試しました。どんなことをしたでしょうか?
・ニンニが再び目に見えるようになったのはなぜでしょう?
・あなたは自分自身が透明人間のようだと感じたことはありますか?
・あなたが透明人間ようだと感じたのはなぜですか?
・自分自身が目に見えないと感じている人が、見えるようになるにはどうしたらいいと思いますか?
●年長の子どもたちに
・この物語のモチーフ、テーマは何ですか?
・ニンニはなぜ目に見えなくなってしまったのでしょう?
・ニンニはなぜ、また姿が見えるようになったのでしょう?
・たまには怒ることは、良いことになりうるのはなぜですか?
・思い切って怒ること、怒りを見せることにはどんな意味があるでしょうか?
・皮肉とは何ですか? 例を挙げてみましょう。
・皮肉はいつも意味があるでしょうか?
・自分自身が目に見えない存在のようだと感じたことはありますか?
・自分が目に見えない存在のようだと感じたのはなぜですか?
・目に見えないと感じている人が、見えるようになるにはどうしたらいいと思いますか?
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この春、この物語が収められている『ムーミン谷の仲間たち』が、リニューアル刊行されました。翻訳を読みやすく改訂し、トーベ・ヤンソンの絵をさらに美しく再現した新版です。この機会に、ぜひ手に取ってみてくださいね。
翻訳/内山さつき