(142)ムーミンフードのヒント

鈴カステラのミイは、森アーツセンターギャラリーと同フロアにあるカフェ、Cafe THE SUNに登場したムーミン展コラボメニューのひとつ。フィンランドのムーミンファンたちのあいだでも話題に。

次はコンテンポラリーで。ムーミンは1975年にムーミンオペラが上演されたくらいの時期を機に、毎年、細々とではあっても、フィンランドのどこかしらの劇場で何らしかのムーミンが上演され続けてきている。時にお芝居、時にオペラ。コンテンポラリーダンスになることもあれば、人形劇、さらにバレエと形を変えて舞台で上演されている。

先日、ヘルシンキを拠点とするコンテンポラリーダンスのカンパニー、ラーティッコが秋に『ムーミン谷の仲間たち』をベースに『ムーミン谷からの物語』と題した作品をやると発表があった。

私の周囲といえば、ダンスは秋のことだし、それよりも私が日本から送ったりSNSに投稿しているムーミンフードの画像に話題が集中している。

フィンランドでムーミンのパッケージの食品を数えたら、日本よりも多いのではと思う。ところが、中身までムーミンの形をしているものは少ない。チョコ、クッキー、グミ程度か。そんななか、カフェメニューとしてニョロニョロのメレンゲやエクレアがこの2年ほどの間に登場し、フィンランドのムーミンファンたちの間では大評判となった。何か他にないか、そうしてネット検索をしてみると、次々と出てくるのは日本のムーミンフードのメニューなのだそう。

いつか日本に行ったらと夢見る日本のムーミンフード。ところが、ついに「これ、自分たちでも頑張れば、作れるかも?」というのが出てきた。鈴カステラとアーモンド、イチゴを使ったちびのミイだ。このアイデアを絶賛する人の多いこと。

もともとフィンランドの人たちは、自分たちが工夫して作ることを日常的にやっている人が多い(ムーミンたちもか)。バースデーケーキ、ジンジャークッキー、お菓子で作るムーミンハウスなどなど。そんな人たちはもちろん、手作りが少し苦手な人たちまで、ミイは作ってみたい!という。

スーツケースひとつ全てをお土産で埋めて一時帰国したのだけれど、今度はそのスーツケースに、私は大量を鈴カステラを詰め込んでフィンランドに戻るのだろうか。フィンランドの苺の旬は夏至祭以降、つまり夏だ。この夏、フィンランドのムーミン好きのあいだで密かなブームにならないかな、なんて期待している。

森下圭子

フィンランドのムーミンファンたちが日本で絶対行っておきたいのがラクーアにあるムーミンベーカリー&カフェ。フィンランドのメディアで取り上げられたこともあるため、熱烈なファンでなくとも行っておきたいという人は多い。