(131)謎とき『それからどうなるの?』

森を歩くと絵本『それからどうなるの?』の世界が次々と現れてくる

ムーミンの挿絵には、作者トーベ・ヤンソンが子供のころから夏を過ごした群島ペッリンゲの風景を彷彿させるものが数多くある。

トーベのすぐ下の弟さんが、子供のころの夏の島ぐらしについて、以前語ってくれたことがある。牛乳をとりにいくのが子供たちの役割で、でも取りに行くといっても森の中をずっと歩いていかなくてはならない。その道のりは怖くてたまらなかったという。牛乳缶は重いし、森の中はやっぱりうっすらと暗い。ひとりで、時にけもの道や茂みを歩くし、木々の向こうから聞こえる姿の見えない物音や鳥の声、かと思えば海から吹いてくる風が、気まぐれに木々をぬって森の中を通り過ぎていく。

あっ!牛乳缶?森の中?怖かった道のり?って……これで思い出しがのがムーミン絵本一作目の『それからどうなるの?』だ。

そう、『それからどうなるの?』の舞台になった森は、トーベが子供時代を過ごした島にあったのだ。

この夏、そのペッリンゲで『それからどうなるの?』が辿る道を、謎解きしながら歩いていく「アイランドリドルズ」というアクティビティが誕生した。

出発地点は島の商店。かつてトーベ・ヤンソンが子供のときに牛乳をもらいにいったところだ。店ではリュックと『それからどうなるの?』の絵本が手渡される。リュックには、ヒントと「困ったときの最後のヒント」。ムーミンでは冒険するときにムーミンママがサンドイッチを作ってくれるけれど、リュックには地元のママが作ってくれたパンケーキとジャムとサラダも入っている。

ヒントをもとにチェックポイントからチェックポイントへと歩いていく。絵本のページを参考にし(ヒントは文章の中にも絵の中にもある!)、絵本の中のムーミンのように持つことになる牛乳缶の中の「一見ガラクタに思える便利な道具あれこれ」を使って、次々と謎を解いていく。

森の中を歩き、絵本と同じような風景に出会ったり、茂みのなかで目印を探し、時に海が見えたと思えば、スニフの洞窟もある。

謎解きというと、ついつい謎を解いて次へ次へとゴールに急いでしまいがちな気もするけれど、森の中を歩く『それからどうなるの?』の世界は、謎を解きながらも、森の匂い、海からの風、鳥の声、風に吹かれてざわざわと囁く木々や草花に耳を傾け、ふと足をとめて、ゆっくりその環境を楽しみたくなる。

いつかフィンランドで、ペッリンゲの島で絵本『それからどうなるの?』を手に謎解き森歩き、してみてはいかがでしょうか。

アイランドリドルズ
https://islandriddles.com/

森下圭子

いつもとは違う森歩き。謎解きが加わると、冒険心が刺激されるみたいだ