(50)ムーミンブルー

ヘルシンキに生まれ育った人たちすら驚く雪景色。これほど雪が積もったのを見るのは初めてという人だらけなのだ。「すっぽりあたりが雪に覆われている感じがムーミン谷みたい!」なんて喜んだりもしていたのだけれど、やっぱりこんな日が数ヶ月続くときつい。

あまりの雪でいろんなものがすっぽり埋まっている。ずっと駐車してある車は、もう春まで出せないのかもしれない、と思わせるほど雪にうもれている。いろんなものが雪でどんどん覆われていくと、その中でわずかに顔をだしているものが何とも愛らしい。そんな中で特に感激したのが、人々の家の庭に建つムーミンハウス。

フィンランドの木造の家は自然から採取できた塗料の色を踏襲して壁が塗られている。今はさすがに自然の塗料ではないけれど、当時からの伝統色をしっかり守っているのだ。土の黄色や赤など。小さな村のくねくね道路を走っていると同じ色の家ばかりが、何もかも覆ってしまった雪の白に続く。そこへ時おりムーミンハウスの青が登場するのだ。ぽつりぽつり、同じ色の繰り返しの中で、それは本当に鮮やかで、そしてとても明るくて暖かい。

いろんなものが元気よく育つ夏は、自然の息吹の中にひっそり隠れるような佇まいのムーミンハウス。この道は何度も走っていたはずなのに、この雪のおかげで初めてみつけたムーミンハウスたち。お父さんが子供たちのために庭に建てた子供の遊び小屋のムーミンハウスは大きくはない。でも雪に覆われた世界の中でムーミンハウスの存在は大きく、そしてほっとするほど明るくて暖かい。温かいミルクや夏に摘んだベリーのジャムをのせたパンケーキとか、そんなものをつい想像させてしまうほど。

また別の小さな村を旅してみたいなと思う。探すわけでもなく、ふと目に入るムーミンハウスは楽しい。

森下圭子

 

赤ちゃんの誕生お祝いにと買われる方が多いとか。生まれたばかりの赤ちゃんへのプレゼントに銀の匙は定番ですが、銀色のムーミンも縁起よさそう。

少し成長した子のお誕生日に。クリスマスには靴下など小さなプレゼントをたくさん用意するフィンランドですが、お誕生日には大きなものをドンとプレゼントする人が多い。