ムーミンとちびのミイはどっちが年上?

前回のムーミンクイズで、スナフキンちびのミイミムラ(夫人)を母親にもつ異父姉弟だとお伝えしました。スナフキンよりミイが年上!?とびっくりした方も多かったのでは。となると、ムーミンたちはいったい何歳で、どれぐらいの年齢差があるのか、気になりますよね!? そこで今回のクイズ、ムーミントロールとちびのミイはどっちが年上でしょうか?

まず、ムーミントロールをはじめとする登場人物たちの年齢について考えてみましょう。
最初に発表されたムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』ではムーミントロールはまだ幼い子どものようで、怖いことがあるとムーミンママの腕をぎゅっとつかみます。手をつないで歩いているような挿絵もあります。ちびのミイは登場せず、まだ名前を持たない“小さな生き物”(後にスニフという名前が与えられます)が出てきます。この作品と、続く第2作『ムーミン谷の彗星』、第3作『たのしいムーミン一家』を読むと、ムーミントロールとスニフは同年代の遊び友だちという雰囲気で、たまにムーミントロールがお兄さん風を吹かせることがあるので、同い年か、スニフが少し年下という印象を受けます。

第4作『ムーミンパパの思い出』で、ムーミンパパは自分が紙袋に入れられてムーミンみなし子ホームに置かれていたと明かします。親に関する記述はありませんから、物心つく前だったのでしょう。彼が何年ぐらいホームで過ごしたのかは定かではありません(そもそもムーミン族が何歳で大人になるのかもはっきりしませんが)。おそらくは、人間でいうところの思春期を迎え、ホームを脱出した若きムーミンパパ。フレドリクソンたちとの船旅を経て、王さまの島に上陸し、ミムラのむすめ=長女のミムラねえさんと出会います。その頃の彼女はでたらめばかり言っては人を騙すのが得意な女の子。こんなセリフがあります。
「あたしはおとなになるまで、みんなといっしょにいるわよ。ねえフレドリクソン、なにかちびのミムラがどーんと大きくなるようなものを発明できないかしら?(略)あたし、ミジンコぐらいの大きさしかなかったのよ」(『ムーミンパパの思い出』講談社刊/小野寺百合子訳/畑中麻紀翻訳編集より引用)
どうやらミムラねえさんも生まれたときはかなり小さく、その時点でまだ大人ではないことがわかります。
その後、ちびのミイが誕生しますが、スナフキンはまだ生まれていなかったので、姉弟と推定されるということは前回のクイズでお伝えしたとおりです。そして、ムーミンパパがムーミンママと出会うのはさらに後で、当然、ムーミントロールの誕生もまだまだ先のこと。したがって、ちびのミイは明らかにムーミントロールより年上。クイズの答えはちびのミイです。ただ、それぞれ何歳なのか、年齢差がどれぐらいなのかははっきりしません。

第5作『ムーミン谷の夏まつり』では、ミムラねえさんはもう人を騙して喜ぶようなことはなく、母親から頼まれて妹のちびのミイをしつけようとするほど大人に。一方、ちびのミイはなぜかちっとも大きくならず、裁縫かごに潜り込んで遊んでいます。

小説のなかで、何年や何カ月といった時間の経過はほとんど明確にされていません。ただ、はっきりしているのは、四季があること。巻を重ねるごとに、季節がめぐり、ムーミントロールはを経て、灯台の島で少しずつ大人になっていきます。ちびのミイはというと、どの作品でも一貫して、大胆で、独立心旺盛で、歯に衣着せぬ物言いをする女の子として描かれています。第8作『ムーミンパパ海へいく』では、ふたりの関係は対等ですが、自分のことでいっぱいいっぱいなムーミントロールに対して、ちびのミイのほうにはそんなムーミントロールを見守っておもしろがるゆとりが。やはり、精神年齢的にはミイのほうがお姉さんなのかもしれません。ムーミンシリーズはそれぞれ独立したお話ですから、必ずしも発表順に読まなくても楽しむことができます。でも、登場人物の成長や関係性の変化に注目して続けて読んみると、また新しい発見があるかもしれませんよ。

萩原まみ