トーベ・ヤンソンが愛した美しいバルト海を守るために――#OURSEAキャンペーン part1

2020年は、トーベヤンソンがムーミンの最初の小説『小さなトロールと大きな洪水』を出版してから75周年になります。この記念年を祝うため、ムーミンキャラクターズは1年間、バルト海を支援するキャンペーンを始めました。

「パパは水ぎわまでやってきて、くだける波を見つめて立っていました。そこにパパの海がありました。あとからあとから、ザアーッと音をたてて波がうちよせ、むちゃくちゃにあわをたててあばれます。それでいて、またふしぎとしずかなんです。

ムーミンパパのしんぱいはすべてかききえてしまって、耳のはしからしっぽの先まで、生気があふれてきました」

トーベ・ヤンソン『ムーミンパパ海へいく』(1965年)より

「トーベは生涯海と共に暮らし、深い愛を持って海を描きました」。トーベ・ヤンソンの姪で、ムーミンキャラクターズのクリエイティヴ・ディレクターのソフィア・ヤンソンは語ります。

「『ムーミンパパ海へいく』では、たとえば晴れて穏やかな海から荒れ狂う嵐まで、海のさまざまな表情が描かれ、物語の主な焦点の1つとなっています」とソフィアは解説します。

「自然の力は、メインキャラクターと同じくらい重要なのです。トーベはただ海を賛美するだけでなく、愛していました」

「トーベの物語において、海の果てしなく変化する性質は、これから起こることの不確実性、いかなることも起こりうるということ、未来は未知であるという事実のメタファーになります。トーベはそれを明確なこととしてとらえていました」

「本質的なところで、トーベは海を敬うべきものとして描写し、愛していました。海がなかったら、私たちは存在さえしえないのです。 海は、トーベの最も重要なインスピレーションの源の1つでした」

 

危機に瀕するムーミンのインスピレーションの源

トーベ・ヤンソンが暮らした、故郷のヘルシンキも、夏の間を過ごしたペッリンゲ群島も、バルト海の沿岸にあります。 彼女にとってバルト海は家であり、安心できる場所であり、冒険とインスピレーションの源でした。 彼女は海の美しさと力にインスパイアされてムーミンの物語を生み出し、空間や自由、クリエイティビティが必要になったとき、海と向き合うため、自分の小さな島、クルーヴ島に向かいました。 ムーミンの物語の中には、数え切れないほどの豊かな海の描写があり、ムーミンたちは海で多くの時間を過ごします。トーベの海への愛は、物語の随所に見出すことができるのです。

しかし、トーベが亡くなったあと、バルト海は世界で最も汚染された海の1つになってしまいました。

バルト海に影響を及ぼす最も深刻な環境問題は、富栄養化です。それは主に都市からの廃水と森林と畑からの雨水、そしてある程度は航行からの排水によって、海に排出される過剰なリンと窒素が積み重なることによって引き起こされます。 富栄養化は、バルト海の生物の多様性に対する主な脅威の1つでもあります。栄養の過剰濃縮は、藻類や植物の成長レベルを上昇させ、水を濁らせ、酸素を欠乏させ、種組成の変化、藻類の開花を引き起こします。さらに、気候変動がバルト海の富栄養化をさらに加速させています。

 

汚染された海を救うムーミン・コミュニティ

トーベ・ヤンソンがムーミンの最初の小説を出版してから75周年の2020年、 ムーミンキャラクターズは、ヨン・ヌルミネン財団と共同で、一年間の#OURSEAキャンペーンを開始します。 目標は、バルト海とその文化遺産を将来の世代のために守るヨン・ヌルミネン財団の仕事のため、100万ユーロを集めることです。

ヨン・ヌルミネン財団は、1992年に設立されたフィンランドの民間の財団で、その使命はバルト海とその遺産を次世代へと受け継ぐことです。 財団のプロジェクトの成果によって、バルト海の富栄養化リンの積量が数千トン削減され、海中の藍藻の量が大幅に削減されました。

10€の寄付ごとに、40 kgの緑青藻をバルト海から取り除くことができます。キャンペーンに参加するには、www.oursea.fiから寄付を行い、キャンペーン製品を購入すること、海について学ぶことです。この挑戦は、友人、家族、同僚、そして政治家たちが行動を起こすために影響を与えるだけでなく、状況と向き合い、改善するための解決策です。

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Images: (c) Moomin Characters

翻訳/内山さつき