(65)もしも…
こんな極端なフィンランドの気候の中で子供時代を過ごしたらどうなんだろうかと思うことがある。夏はいつまでたっても陽が沈まなくて、逆に冬は学校に行くときも下校時も闇の中を歩くのだ。友達や近所の子供たちと一緒にいながら時おりそんなことに思いを巡らせる。森に囲まれて暮らす友人の子が5歳のとき、彼はおしっこがしたいと思えばそこいらでズボンをおろして用を足していた。森だからそれでいいのだ。特にフィンランドでは(大人でさえ長距離バスで尿意を催すと、男性たちは運転手さんに言ってバスを停めてもらい、森の中に入って用を足すのだ)。彼は父親の故郷のロンドンに家族旅行したとき、あまりの違いに到着したその日から家に帰りたいと泣き出した。
(64)フィンランドのムーミンたち
ムーミンワールドのムーミンとミイと一緒に行った日本は、いつにもまして好奇心と新しい冒険が詰まっていた。「こんにちは」「ありがとう」という基本的な言葉を覚えながら、フィンランド語の別れの言葉「モイモイ!」をいつの間にか教えていて、東京を「まるで蟻塚にみたい!」と言っておきながら、その人ごみの中に嬉々として飛び込んでは一緒に写真をとったり抱きついたり、楽しそうにしている。大都市の人だらけの風景に呑み込まれていくように見えながら、結局はムーミンとミイが人々を巻き込んで楽しくやっているように見え。迷子になることも遅刻することもないしっかり者のムーミンとミイだけど、タクシーの中で元気に歌をうたい続けたり、人に親しみを込めて日本では世界一まずいと言われている黒い飴サルミアッキを差し出してみたり(本人たちには大好物だから)。かと思えばお店でみかけた「奇妙な姿の日本の食べ物」を次々とかごにいれて大試食会をしていた。どれもおいしかったらしくて、ムーミンママにも教えてあげるそうだ。
(63)氷と凍てついた世界
気温がぐんぐん下がっていく。−20℃の世界。木の枝にこんもり乗っかった雪だって、強い風のひと吹きでさらわれてしまい、一瞬にして目の前の森の風景が変わってしまう。毛糸の手袋に飛んできた雪は、姿をかえず結晶のままでじっとしている。雪同士がくっつけないほど寒いのがフィンランドの真冬だ。
(62)ムーミンの転機(後編)
ただ、このムーミンの転機は大きなことです。自然なことでもあるのですけどね。人が歳をとるように、ムーミンも成長した、そういうことなのです。人がもっともっとと期待しているからといって、無理にムーミンを続けることは、私には不誠実なことに思えます。ムーミンは成長し、そしてムーミンのシリーズが終了したのです。コミックとか児童文学というのは、対象になる人の幅がとてもひろいんです。だからとても難しい。自分に正直であること、誠実に生きること。
(61)ムーミンの転機(前編)
仕事場の整理をしていたら、ムーミンネタ帳がでてきた。大学に所属して研究するのはやめようと思った頃のものだと思う。ネタ帳があったことすら覚えていなかったのだけれど、きっとあの頃はあれこれ葛藤していて、こまめに思いついたことを記録しようとしていたのかもしれない。ネタ帳は驚くほどに真っ白で、ほとんど何も書かれてなかった。
(60)冬ごもりの前に
海が凍ってしまうフィンランドの冬。人は行く手だてがなく、島は冬眠するように静かになる。ムーミンパパの灯台の島にも、しばしのお別れを告げるときだ。冬になる前に、大掃除しようということになった。
(59)ムーミンにかける熱意と気合い
ドラマ、CM、映画、ニュース番組にだって登場する......食器が必要な場面に必ずというか当然のようにおかれているのがイッタラやアラビアの食器。フィンランドではそれくらい日常的で一般的なのだ。
(58)森としっぽ
友達とのきのこ狩りで森にいた先日のこと。途中で完全に方向感覚を失ってしまった。ひとりが得意気に「ほら、コンパスもってきたよ!」と取り出したはいいけれど、「ところでコンパスの針って黒が北?赤が北?」って......どうにもならない。
(57)群島をめぐる
トーベは子供の頃に手漕ぎボートで群島めぐりをしている。それが頭の片隅にあったからか、海沿いの町に滞在中、ふと思いたって少し先の小さな島へピクニックに行くことにした。手漕ぎボートで繰り出したら、これが大変。池や湖とは全然勝手が違うのだ。ほんの少しの風でも小さな波でも、ボートがどんどん持っていかれてしまう。必死に漕いでも前に進むどころかぐるぐる回るばかりだったり。1時間も漕いでないくらいで、手のひらに豆はできるし親指の付け根の皮までベロリとむけてしまった。トーベが暮らした沖の島。あんなところでボートを手で漕いだりなんかしたら...想像しようと思っても、オールを置いて海に飛び込み、ボートを両手で押しながら必死に泳ぐ自分の姿しか思い浮かばない。はなっから諦めてしまっているというか。改めて思う。10代のトーベが手漕ぎボートで島から島を巡ったということ、10代の子がこんなことをやってしまう。なんて痛快で素敵なことだろう。
(56)ひとり立ちの島
『ムーミンパパ海へいく』の舞台になったといわれる灯台の島、ソーダーシャール。この島に足を運ぶたび、自分の興味がこの作品のムーミントロールに向くようになった。
(55)夏至祭の空模様
夏至祭の前の日、この日の夕方から夏至のお祭りがはじまる。多くの人たちは遅くともお昼くらいには仕事を終えて、そそくさと街を離れる。一年でもっとも日照時間の長い一日は大自然に囲まれた中で楽しみたいのだ。首都ヘルシンキはがらんとしている。街に残っている地元の人はごくわずかで、旅行者ばかりが目立つ。
(54)ムーミンのそばにいた子供たち
個人的なことなのだけど、私が関わるふたりのフィンランド人作家が、東京でゴールデンウィークに展覧会をしていた。ひとりはユリア・ヴォリ。もうひとりは日本でビューしたばかりの作家アンネ・ヴァスコだ。ふたりは40代はじめの同世代で、絵本の世界で実績のある期待の作家でもある。
(53)かもめの歌声と鳥の島
春は急に深まり、空からは少しずつ闇の濃さがやわらいできている。もうすぐ白夜だ。でも夜は夜。夜になると空が明るくても、なんとなく空気が落ち着いている。そんな空気や風が夜の気配を街にとどめる。ここへ我よ我よと大声で鳴いてるのがかもめだ。冬のあいだ、とんと見かけなかったかもめ達が、いたるところで大騒ぎを始めるのだ。ああ、これで冬が終わったノノそうしみじみ思う。
(52)森を歩くということ
気持ちがひとつところに傾きかけると森へ行く。フィンランドの人と話しているとそんなことを感じる。いつの間にか私もそんなだ。森に癒される?...うん、それもある。でも「私」を取り戻したい、そういうことじゃないかなと思う。きっとそうだ。
(51)春は太陽に乗ってやってくる
ヘルシンキの歩道はつるっつるだ。足元ばかり見ていて、せっかくのムーミン谷の冬のような景色を楽しめていない。歩きにくいなら走ってしまえ…ふとひらめいてスロージョギングをすることにした。−15℃のスロージョギング。襟元の髪は樹氷のようになり、腰につけた水もじゃりじゃりしてきたりする。面白い実験のような体験をしながら、何が嬉しいって足元を気にせずにいられることだ。こんなにじっくり森をみながら、心地よいテンポできょろきょろと森の様子を眺めていられるなんて、なんて楽しいことだろう。
(50)ムーミンブルー
ヘルシンキに生まれ育った人たちすら驚く雪景色。これほど雪が積もったのを見るのは初めてという人だらけなのだ。「すっぽりあたりが雪に覆われている感じがムーミン谷みたい!」なんて喜んだりもしていたのだけれど、やっぱりこんな日が数ヶ月続くときつい。
(49)ムーミンのいないムーミン
今年のクリスマスは突出した人気の商品がない。それくらいに商品は多様化してきているし、対象を広げてきているのだ。かつては人気商品が集中し、「あの商品はどこでまだ手に入るか?」と全国規模で探したりした。例えばアラビアからクリスマス前に登場した最初のシーズンマグや、子供向けのムーミンコンピュータ。お客さんがわざわざ「○○にはあと1台あるわよ」なんて教えに来てくださったり、ムーミンショップの店員も、あちこちの店に電話して在庫状況を確認し、探している方にお伝えすることもあった。
(48)みんなの探しもの
あとで慌てたくない人たちは11月くらいから少しずつ、クリスマスプレゼントを買いためていく。この時期はまだ心に余裕がある。だからお店の人にプレゼントする人のことを話し、アドバイスを求める人も多い。お客さん同士が店員さんを介してアドバイスしあったり、あれこれとおしゃべりが続く。これが楽しみでムーミンショップに立ち寄ることだってある。知らない人同士がこんなに気さくに話をすることはフィンランドでは珍しい。さらに一日の大半が夜に思える11月はなんとも気が滅入りやすいので、いい気分転換にもなる。
(47)ムーミンに出てきそうな人々
いまフィンランドでは精神病院から社会を変えたとまで言われる伝説の患者さんをモデルにした映画がヒットしている。精神病院博物館ではガイドのおじさんが彼女にまつわるエピソードを嬉しそうにいつまでも話してくれるし、庭には彼女の記念碑まである。誰よりも幸せそうで、そして周囲の誰もかもが彼女によって明るくなれたんだろうと想像できる。そしてこうしたテーマを扱った映画に大勢の人々が足を運ぶフィンランドってやっぱりいいなあ、と思う。
(46)ヤンソン一家のきのこ狩り
ヘルシンキという街は首都でありながら自然が身近なところにある。どこに住んでいても歩いて20分以内に緑の豊富な森や公園があるように都市計画されているのだそうだ。先日知人に誘われて行ったのは、地下鉄の駅から歩けるようなところ。なのに、そこが首都だということも、つい20分ほど前には地下鉄に乗っていたことも信じられないような場所だった。
(45)ムーミンで浮かれる季節
学校では新しい1年が始まった。鉛筆やノートなど、学校で使うものは備品すら学校で支給してくれるフィンランドだけど、やっぱりお気に入りの鉛筆やノートで勉強したい。ノとういことで熱心に、そして浮かれながらも慎重に文房具を選ぶ子供たちを見ていると、なんだか私までつられてしまう。どこをどうみても、どこをどう切り取っても初々しさのかけらすら見当たらない、そんな私ではあるけれどムーミン文具は楽しい。
(44)にぎやかなムーミン
街にはポスター、店にはグッズ。この夏はいつも以上にムーミンを目にする。65周年はさすがに賑やかな様子だ。フィンランドの人たち同様しっかり夏休みをとる私は、北部の小さな村でのらりくらりと生活しているのだけれど、そんな私の生活圏内ですら、ムーミングッズがちょくちょく目に入る。Tシャツは子供だけじゃなくて大人にも、アラビアのマグはもちろん、フィンレイソンのタオルやらリネン類などが大型スーパーの目のつくところに並んでいるのだ。野菜や牛乳だけを買うつもりで店に入るのに、いろんなところでムーミングッズを目にするものだから、レジにもっていくかごの中にはムーミンのガムやらチョコレートまでがいつの間にやら入っている。そのうちタオルを手にしていても不思議ではない。
(43)ムーミンのお引越し
肌寒い雨の日に「ああ、フィンランドの夏だねえ」などと笑いながら自虐的にいう人たち。これは心に余裕があるから言えてるのだ。6月は誰が何をいおうとも夏(たとえセーターを着ることがあっても)、太陽の沈まない白夜の夏。学校は8月の中旬まで夏休みだし、大人たちだって会社帰りに島に行って軽くバーベキューしたり焚き火したり。趣味でお芝居をやっている人たちの野外劇場もいよいよ開幕だ。フィンランドのあちこちで森の中に突然あらわれる夏の劇場。そばに湖があることも多い。こんな光景に出くわすと、つい『ムーミン谷の夏まつり』を思い出す。
(42)大人のムーミン
フィンランドの5月1日は春を祝うようにピクニックを楽しむ。天気が悪くても寒くても、この日は外で祝いたい。そして5月1日のヘルシンキの街はたくさんの風船で賑やかだ。いろんな人気キャラクターの風船を持つ子供、子供、子供、そしてたまに大人も。そんな5月1日の昼下がりにバーの前を通りかかったら、バーの中でムーミンの風船がぷかぷか浮いているのが見えた。
(41)トーベのサイン会
アカデミア書店という本屋さんは(アールト設計)本に圧迫されない空間作りが本当に見事で、人の目線より上にわんさか本が並んでいない。おまけにところどころにソファが置いてあって棚と棚の間にたっぷり空間がある。そこで手にした本をソファに座って眺めていてもいいし、この前など雑誌をみながら必死にメモまでとっている人がいた。こんな本屋さんが日常にあったら、本好きの読書好きになりそうだよなあ...いつ行ってもそんなことを考えてしまう。
(40)ヘルシンキにムーミンスポット
子供に読書の楽しさを伝えていきたい。この理念で誕生した新聞博物館で、3月12日からムーミン展が始まった。タイトルは『大冒険』。ムーミンと読書の楽しさをどんな風に組み合わせるのかと思ったら、なんと絵本の世界に迷い込ませるしくみ。絵本にある森の中、見覚えのある黄色い小径や小さな生き物たち、少しいくと海もある。クニットのかばん?ママの毛糸だ!洞窟を覗いてみたら焚き火があって、スナフキンの影がみてる...ゆっくり一人でくつろいでいる姿だ。
(39)壁にさりげなく新聞の切り抜き
ニメの登場でムーミン人気は不動になったけれど、それまではフィンランドでのムーミン人気に波があった。干支ひとまわり程で次の波という按配。先日、70年代伝説の若きミュージシャンについてのドキュメンタリー映画を観にいったら、幾度となく登場したムーミン話に、見事なくらい観客が無反応だった。映画の最後に流れたこの天才の歌の、歌詞にまでムーミンが登場したのに無反応。フィンランドにいるからって、いつもムーミンで盛り上がれるわけでもないのだ。でも寂しかったなあ。子供番組という印象が強すぎるのかも。いつか巡りめぐって、またムーミンに再会してくれたらな、とひそかに映画館で願ってしまった。
(38)海を学ぼう、自然を守ろう
いよいよムーミン65周年。60のときは淡々と過ぎ去っていった感の強いフィンランドだけれど、今回はなんだか熱い。そしてとってもフィンランドらしいなというお祝いのしかたをする。テーマは「海の学校」。WWFといっしょにバルト海を大切にしよう、環境にやさしい暮らしをしようということを一年を通して啓発するのだ。これは65周年の公式サイトだけでなく、シリアラインやナーンタリスパホテル、出版社をはじめムーミンに関わる各企業も参加してくれるようだ。サイトではバルト海で見られる海の生き物や植物たちのこと、私たちが心がけるべき環境にやさしい暮らしのヒントなどが子供たちにもわかりやすく紹介されている。
(37)ムーミン、現代芸術を身をもって体感
アモス・アンダーソン美術館のポスターときたら、穴ぼこだらけにされてるムーミンだとかムーミンが梱包されて息苦しそうというかノなんだか痛々しいのだ。ムーミン使えばインパクトあると考えたのかい?とか、痛々しいポスターを見ていると、なんとなくこれを作った芸術家に毒づきたくなってしまうのだ。でも、見に行った。まんまと思うツボかもしれないけれど、ムーミンなので行った。
(36)ムーミンアニメのフィンランド語
ーミンアニメをフィンランド語訳した翻訳家のイェルッタは、いまでも「あのー、あのー」って日本語を覚えてるのだそうだ。さまざまな子供番組のフィンランド語訳を手がけてきたからか、ムーミンの翻訳の依頼がきた。ムーミンアニメの原語だった日本語はチンプンカンプンなのにだ。やりながら、外来語が意外と多いことに気づいたり、「あのー」もこれで覚えたらしい。
(35)新しいムーミンスポット
真冬というのにメールからも元気ほとばしる人だった。ムーミンの会社から「こんな人がいるんだけど、どう?」と紹介された建築家。巷はクリスマスだ何だとてんやわんやの中で、それでもこの人はすぐに時間を作ってくれて会うことができた。セバスティアン、ひょんなことがきっかけでムーミンパパの灯台守になった人(厳密には所有者)。
(34)ムーミンスポット
ムーミンのスポット、作者ゆかりのスポット……ムーミンが大好きな人たちが行きたいところは、きっといっぱいあると思う。そんな中でトーベが「ムーミンの好きな人たちのために」作ってくれた場所がひとつある。それがムーミン谷博物館だ。
(33)夏のあそび、夏の風景
の先に海があって、すぐそばには森がある。どっしりとした構えの木造の家は、昔ながらの赤土色で塗られている。庭には立派な枝ぶりの大木があって、木登りだけでなく、腰かけて自作童話を朗読するのにぴったりで。森の入り口には自分がひっそりかがんでるのにぴったりの洞窟だってある。普通にいつも使われている家に夏の間だけ住まわせてもらおう……このパパのひらめき、よくよく考えてみると突拍子もないことをまた!という感じだ。でもこれこそがトーベ・ヤンソンの子供時代の夏だった。
(32)夏のくらし、うみうまの浜
森のなか、ひっそりと建つ小屋で寝起きしながら夏の日々が過ぎていく…そんな夏休みも、トーベの描く夏の暮らしとは様相が違ってきた。小屋に電気があるのは基本で、テレビやコンピューターを持ち込んでる人も多い。サマーハウスにだって水道やシャワー・水洗トイレがあってくれないと、という要望も増えている。湖のむこうから芝刈り機の音が聞こえてくることだってある。サマーハウスで芝刈りって、それじゃあ森に囲まれてないじゃない!……人が感じる「心地よさ」はフィンランドでもどんどん変わっている。
(31)ムーミン、おかえりなさい!
ーミン谷博物館前にあったムーミンの銅像が帰ってきた。壊されて痛々しい姿だったムーミンは撤去され…やっとの「おかえりなさい!」だ。ムーミン谷博物館内では厳しく制限されている写真撮影だけれど、この銅像ムーミンは好きなだけ、ムーミンと一緒に、またはムーミン単体で、眺めるアングルひとつで表情がころころかわるそのムーミンの豊かな表情までも、存分に写真撮影を堪能してください。
(30)毛皮好きの少女
雑誌のムーミン取材をしていると、実際には紹介されない小さな話がいくつも残る。今回はフィンランド発のこぼれ話を。
(29)踊るの、好きなんです
たくさんのムーミン原画が日本に旅立ち、ムーミン谷博物館では新しく「踊ろう!」をテーマにした展示が始まろうとしている。展示が新しくなるのは2年ぶり。本当に楽しみだ。「踊り」なんていわれると、なおさら。ムーミン谷は踊るの好き…ですよね。踊っている場面の挿絵をあれこれ思い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(28)ムーミン、日本へ
ムーミンの取材に合わせて修復作業をというのを見せていただいた。日本で始まる大きなムーミン展に向けて、展示される1点1点を丁寧にきれいにしてあげている、そんな作業だった。まず綿棒をちょっとだけ水につけ、インクの上をそっとなぞってインクの質を確かめるのだそうだ。私が見せてもらったのは黒のペン画。かれこれムーミンの修復をするようになって5年になるその担当者が驚いていた。
(27)ムーミンがいてくれる
フィンランドの保育園はひとりになりたい子のための空間をうまく作っているなと思う。ひとりの時間を尊重して姿勢がうかがえると同時に、ひとりになる子への配慮もしてるんだ、いいな…と思った保育園もちらほら。それは「どんなときも傍にいてくれるお友達」を作ること。ぬいぐるみ、おもちゃ…ある保育園ではお母さんの手作りブランケットに、いつも自分の傍にいてくれるお友達、どんな時も味方でいてくれるお友達を縫い付けてあった。絵は子供たちが自分で描く。赤ちゃんの頃から大切にしているクマのぬいぐるみ、飼ってるウサギ、そんな中にムーミンもいた。
(26)冬眠中の景色
ムーミン谷はひっそりしている季節。いままだムーミンたちは冬眠している。フィンランドにいると、冬がくるたび「ムーミン、冬眠してあなたたち大正解だよ」と思う。フィンランドの人たちは太陽が恋しくてアフリカやら東南アジアにまで行ってしまうほど、冬の闇がちの日々は苦手だ。冬の大半がどんよりした日で眠いことだるいこと。
(25)ひっそりとトーベ・ヤンソン
庭の隅でぽつりと佇む木造の小さな厠。そこに何十年とそのままだった「最初のムーミン」と言われる落書きのことを思い出す。ムーミンもトーベも特別なものでなく、日常の一部というその感じ。アトリエがあるアパートの屋根裏が物置から住宅に改築されたときに、あっさりなくなってしまったムーミンの落書き。「最初のムーミン」も、いつそれが色あせて消えてなくなってもおかしくない状態だった。その後これは専門家たちの手によって修復され、現在は別のところに保管されている。
(24)フィンランドデザインとムーミン
ムーミングッズは家のどこかに必ずあるほど、今ではフィンランドの家庭に定着している。それよりももっと、長年にわたって人々の生活風景になじんでいるのがヴオッコのデザインだ。ヴオッコとはフィンランドの女性デザイナー、ブオッコ・ヌルメスニエミのこと。初期のマリメッコや独立してのヴオッコ・ブランドで活躍し、おばあちゃまになった今も次々と新作を発表している。
(23)ムーミンの挿し絵といっしょ
ヘルシンキは気まぐれなお天気が続いている。少し前まで「もう冬みたい。朝晩は零下になったりまでするんだから。」と日本の友人に得意気に(寒いのはイヤなのに)伝えまくっていたら、夏にもなかったような穏やかでポカポカした陽気。トーベ・ヤンソンが夏を過ごしたペッリンゲ地域の小さな島々では、冬支度をしていたはずの花がまたポツポツと咲き始めていた。紅葉した森とピンクのバラ、茸とベリー、なんと贅沢な光景だろう。
(22)ムーミンおふろ
フィンランドでキャラクター商品がこんなに元気だったことはなかったんじゃないかと思う。ムーミンがとくにすごい。次から次へとグッズが登場している。内容もどんどん進化していて、かつてはTシャツとか文具とか、キャラクター商品にありがちなものだったのが、キャラクターなんてお目見えすることのなかったキッチン用品など大人向けの商品まで登場してきて…最近では「それまでフィンランドにあまりなかったもの」がムーミングッズとして紹介されるようになった。そういえば、私が携帯ストラップをフィンランドで最初に見たのはムーミンだ。今では当たり前のものだけれど、携帯ストラップじたい、日本から何年も遅れてムーミンといっしょに入ってきた。
(21)ヤンソンの島 その2
島の小屋にはいまでも、トーベたちが暮らしていた頃の様子があちこちに刻み込まれている。調味料の棚に組み込まれた木の箱は、どこぞの島に流れついたお酒の箱を拾ってきたんだな。島の岩にうちあげられていたと思われる生き物の白骨もある。
(20)ヤンソンの島 その1
冬は湖も海も凍りついてしまうフィンランド。厚い氷がとけ海を船で渡れるようになると、すぐに島へ向かったトーベ・ヤンソン。強い風が北から吹きつけ、空や木々も冬支度を始めるまで、毎日毎日ちっぽけな島で過ごす。嵐がきたら、ボートが出せない日が続いたら…水道も電気もない孤島の小屋暮らしは、私などは想像するだけで不安になる。でもムーミンを読んでいると、不安でなく、そんな暮らしに楽しさと幸せを十分味わっていた感じがひしひしと伝わってくる。
(19)読書の夏
フィンランドの学校はすでに夏休み。高校生や大学生はすぐさま夏のアルバイトを開始しているみたいだ。市場や海辺のアイス屋さんには初々しい新人さんたちがあちこちにいて、緑が眩しいこの季節にぴったり。詩をたしなむ人の多いフィンランドでは、「ハイク」を知る人も多いのだけれども、このあたり季語になりそうではないか。
(18)船のようなアトリエハウス その2
そうか、船みたいなんだな。そんな風にアトリエを眺めていると、住居としては不便そうに見えていたのが楽しそうにみえてくる。バラライカがあったり、ムーミン一家が船にのった影絵に使うようなプレート。仮面舞踏会を彷彿させるキラキラしたお面もある。トーベと親しくしていた人たちが語る、そこで繰り広げられたお祝いやパーティーの様子は、その楽しさがリアルに伝わってくるものばかりだし、話してる本人たちも思い出し笑いしてしまっている。
(17)船のようなアトリエハウス その1
建築博物館でのピエティラ展にあわせて企画されたムーミン作者、トーベ・ヤンソンのアトリエ見学。アトリエは一般公開されていないので、大勢の人たちとこんな風に見学させてもらえる機会なんて滅多にない。なのではりきって行ってきた。
(16)ムーミンの棲み家
フィンランドの人は時間に正確だ。バスで8時に出発という遠足があったとする。すると7時59分には全員がバスの座席に着いているといった感じ。ホテルの朝食は朝の7時からといわれれば、バカンスだというのに目覚ましをかけてまで7時をめざしてみたり。時間通りが当たり前の人たち、飛行機の準備が整わないとかの理由でずるずる待たされてしまったら苦痛じゃないか。ところが、フィンランドの人たちってそういう時間をやり過ごすのがなかなかうまい気がする。
(15)またまたホリデー
クリスマス休暇でのんびりしたと思ったら、こんどは1週間のスキー休暇だ。外はみるみる日照時間がのび、たしかに外で冬を満喫するのも楽しい時期。そしてこのお休み期間中にムーミンワールドがお楽しみ企画で開園している。冬のムーミンといえば、ムーミンのスケートショーやムーミン一座の地方巡業なども人気だけど、外でムーミンたちと遊べるムーミンワールドには独特のお楽しみが待っているのではないだろうか。
(14)雪のないお正月
年末年始のクリスマス休暇が終わる頃になって、やっと街が白銀の世界になった。それまではサンタの国フィンランドというのに、首都をはじめ多くの街で雪のないクリスマスとなり、そしてお正月も暗さばかりの目立つ風景の中で迎えたのだ。雪恋しさに、クリスマスからラップランドの友人一家のところに行ってしまった。ラップランドの南部にあるその村は、海はしっかり凍っていたけれど、やっぱりここも雪がほどんとなかった。
(13)ムーミンで演出するクリスマス
ラップランドでは太陽が昇らない日が続いている。寝ても覚めても夜みたい。イベントがなかったら、気はどんどん滅入ってしまいそうだ。クリスマスよ、本当にありがとう。
この時期はムーミンショップもてんやわんやの大賑わいだ。去年のクリスマス大ヒット商品は、コンピュータ型のムーミン学習マシンだった。ある年は靴下が売れ線で、お店の前に何百という靴下を重ねてつくった手作りツリーまでお目見えした。定番はといえばパジャマで、クリスマス前には大人用・子供用とかなりの数を用意しておく。
(12)まどろみの中のムーミン
私がフィンランドにやってきた94年。その頃は、周囲でムーミンを読破している人があまりいなくて不安になった。これじゃあ研究というかフィンランドの人が読むムーミンのことなんて全然聞けないじゃない…。当時、アニメのおかげでムーミンの知名度はあり、ムーミングッズも人気だった。なのに原作を読んでいる大人の少ないことといったら。
(11)ひっそりと遊ぶムーミンたち
あっという間に日が短くなって、今では朝の目覚めが思わしくない。「あ、暗い」と夏が終わったことを確かめるような気持ちが毎朝、繰り返される。そして私は毎年のようにこの時期になると「ムーミンがうらやましい」と連呼している。眠くて眠くて冬眠できるのがなんとも幸せそうなのだ。
(10)大人だってムーミンにひたりたい
ここのところ大人のお客さんを想定したムーミングッズがフィンランドで続々登場している。特にフィンレイソン社の商品数ときたら、近所の子供の成長よりも驚かされるペース。すごい意気込みだ。同じペースで頑張っちゃっているのが秋の速度かもしれない。もう吐く息は白い。北の方では朝晩の気温が零下になっていたりする。見た目は秋だけど、肌に刺さる空気の冷たさは冬のようだ。フィンランドにいると、楽しいことも辛いこともひっくるめて、自然にふりまわされっぱなしな生活をしているなあ、と思うことが多い。
(9)不思議な大会
フィンランドには不思議な大会がたくさん。エアギターは日本でも知られるようになったか。ときに嫁をかついで走ってみたり、はたまた極限のようなアッツアツのサウナの中でひたすら我慢してみたり。どれもこれも「世界一」を決める大会で、参加している本人たちは真剣だったりするのだ。
(8)なつやすみ
フィンランドの首都ヘルシンキは夏休みモード全開。小さなお店は軒並み長期お休みの紙を貼って閉めてしまっているし、会社の中もがらんどう。大人だって4週間の夏休み、そのかわりに、学生さんたちがアルバイトで盛り上げてくれている。
(7)空港にムーミンがわんさか。
6月4日午後1時、ヘルシンキ・バンター国際空港にムーミンショップがオープン!
(6)ムーミンになっちゃった日
友人が番号案内でムーミンショップの電話番号を問い合わせたら、いきなりナーンタリの電話に繋がれてしまったらしい。ナーンタリのムーミンワールドはまだ冬眠中である。お店も安らかにお休みのことだろう。
(5)ムーミンママのエプロン
子供たちが欲しがる夢のムーミングッズ、といえばムーミンハウスだろうか。サンタさんにお願いする子も多い。メインキャラクターのフィギュアや家の中の小物も揃っている。ムーミンにはまっていくうちにレアなキャラが欲しくなったら別売りのフィギュアもあるので、このあたりからコレクション人生が始まるといってもいいか。
(4)ムーミンをとりまく熱い視線
ムーミンショップにいると、すでに製造されていない商品を求め、途方に暮れた迷える人々がやってくる。この1年くらい急増しているなっていうのが個人的な印象。ムーミンショップには、もう製造されていないものがわずかに残っていたりするので、確かに目のつけどころとしてはいいのですが…それでも無いものはない。すると商品がネット上で争奪戦になってしまう。
(3)ムーミン、国立劇場に登場
PRのためだけにオリジナルのムーミン人形をフェルトで作っちゃいました。おまけにトーべの夏の地、クルーヴ島にまで連れていって、ポスター撮影したフィンランド国立劇場。相当な力の入れようだ。こんなに頑張られると、なんだか観る方まで力が入ってしまうではないか。サウナにでも入ってリラックスしておかなくては。ところが公衆サウナの中のおばあさんたちときたら見事なムーミンワールドっぷりで、観劇前にますます気合が入る結果になってしまった。
(2)がんばれヘムレンさん
1月になるとサンタ報告に来る人たちがムーミンショップにやってくる。サンタにもらったムーミンのあれこれ。親がわざわざ「○○の人気はどんなものでしたか?」と確認しに来ることもある。それが完売だと分かると、そばに立っている子供たちの鼻の穴も大きく開いて得意満面だ。サンタの手をつかんでムーミンショップまでやってきて、「僕はこれが欲しいんだよ!」と主張していた男の子も、クリスマスはニョロニョロで遊んでたはずだ。
(1)勢いだけでムーミンショップに登場
フィンランドの冬は動きがモゾモゾしてしまう。なんだか眠くてやる気もなくて、寒い街でふと空を見上げても、のっぺりした厚い雲が広がるばかり。
そんな時にいきなり電話がかかってきた。ムーミンキャラクターズの社長からだ。ムーミン社長は冬も元気で、それはそれはムーミン谷の冬景色をラッパを吹きながらスキーでとばしてくるヘムレンさんのようだ。 ...
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